【最近のウォーニングレター】ASTROM通信 230号

紅葉は見ごろになってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

さて、今回は、FDA(米国食品医薬品局)から海外の製造所に出されたウォーニングレターと、アメリカ国内の製薬会社向けに出されたウォーニングレターを1件ずつ取り上げたいと思います。

最後までお読みいただければ幸いです。

最近のウォーニングレターの概要  

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。

■#320-21-57■

FDAがOTC医薬品を製造しているホンジュラスの製薬会社から2020年11月6日、2021年3月24日に提出された記録及び情報をレビュし、医薬品製造の重大なCGMP違反について発した2021年9月15日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1

貴社は、成分、医薬品の容器、蓋、中間材料、ラベル、医薬品が、同一性、濃度、品質、純度の適切な標準に従うことを保証するために設計された科学的に妥当で適切な規格、標準、サンプリング計画、試験手順を含む試験管理を定めることを怠った。
<指摘1詳細>
我々の704(a)(4)の要求に対する貴社の回答及びその後の対応で、貴社は、貴社の最終製品XX内の有効成分である塩酸リドカイン及びメンソールに関する適切な規格を制定することを怠っていることを示した。例えば、704(a)(4)に従った記録及びその他の情報提供に関する我々の要求に対する貴社の回答の中で、貴社は、アメリカに出荷されたと確認されたロットに関する最終製品の試験記録を提出した。これらの記録の我々のレビュで、貴社は、最終製品の中の有効成分メンソールに関する規格の制定を怠っていたことを示した。さらに、貴社は、入荷したメンソールを試験したように見えない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 最終製品試験の適切さを保証するための、包括的で独立したアセスメントと、是正処置・予防処置の計画
    貴社の改善されたプログラムは、これに限定されないが以下のことを含むべきである:
    • (摘要できる場合は)現在のアメリカ薬局方(USP)公定承認基準の規格を使用するという約束
  • ロットの出荷判定をする前に製品の各ロットを分析するために使用される試験方法を含む化学及び微生物の規格のリスト
    • この文書の日付時点で使用期限内にあるアメリカに出荷された製品の全てのロットの品質を判断するために保管サンプルの全ての化学及び微生物の試験を実施するためのアクションプランとタイムライン
    • 各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
      それらの試験で医薬品が品質の基準を満たさないことが明らかになったら、顧客への通知や製品の回収等の迅速な是正処置を行うこと。
  • 貴社の試験業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
    このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善し、その効果を評価するための詳細な計画を提出せよ。

●指摘2

貴社は、医薬品の安定性を評価するために設計された文書化された試験プログラムを制定しそれに従うことと、適切な保管条件と使用期限を決定するために安定性試験結果を使用することを怠った。
<指摘2詳細>
我々の704(a)(4)の要求に対する貴社の回答及びその後の対応は、貴社には、貴社の製品の化学的特性がラベルに表示された3年の有効期間を通して許容可能であることを示すための、適切な安定性ラムが欠けていることを示している。例えば、我々は、貴社の製品XXに関するラベルに示された3年の使用期間を裏付けるために使用された全ての安定性の検証または(制定された安定性プログラムと切り離された)記録・データのリストを含む詳細の提出を要求した。貴社はは、“全ての製品は加速安定性及び在庫(実時間)の安定性を持っている”と説明した。しかし、704(a)(4)に基づく記録及びその他の情報に関する我々の要求に対する、アメリカ向けに出荷され販売された製品に関する貴社の回答は、貴社が適切な安定性プログラムを制定していないうえに、評価されたロットは、ラベルの使用期限の表示を裏付けるための定量分析の判断の対象とされていないことを示している。さらに、貴社は、アメリカに出荷され販売された手の除菌用ローションの有効期限を裏付ける適切な安定性データを提出しなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 貴社の安定性プログラムの適切さを保証するための、包括的で独立したアセスメントと、是正処置・予防処置の計画
    貴社の改善されたプログラムは、これに限定されないが以下のことを含むべきである:
    • 分析試験及び微生物試験の方法を含む安定性を示す方法
    • ラベルの表示を裏付けるための定量分析に基づく各製品の安定性の検証
    • 保管期間が妥当か判断するために、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追加されるような継続的な計画
    • 各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
  • 貴社の改善された安定性プログラムにおける、これら及びその他の要素を述べた全ての手順
  • 手の除菌用ローションの有効期間を裏付ける安定性データ
  • アメリカで流通している製品の製品品質や患者の安全性のリスクに対応するための、顧客への通知、回収、市場からの撤退の可能性を含む貴社のアクションプラン

●指摘3

貴社は、純度、濃度、品質に関する全ての適切な文書化された規格への一致について、各成分のサンプルを試験することを怠った。
<指摘3詳細>
入荷した成分の試験に関する我々の704(a)(4)の要求に対する貴社の回答及びその後の対応は、貴社が、リリースもしくはアメリカへの出荷前に貴社の医薬品の製造に使用される入荷成分の純度または同一性に関する適切な試験を示すことを怠った。例えば、704(a)(4)に関連する記録及びその他の情報提供に関する我々の要求に対する貴社の回答は、貴社がXXに関する適切な成分の試験を保証することを怠っていることを示した。特に、エチルアルコールの不純物に関して評価することと、同一性試験を実施することを怠った。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 製造に使用する成分の入荷した各ロットの試験やリリースに使用している化学及び微生物の品質管理の規格
  • 同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な規格への一致について、各成分のロットをいかに試験するかの記述
    制定された試験方法の代わりにその他の方法が使われるなら、正当性を提供することを要求する。各成分の濃度、品質、純度の試験をする代わりに、供給者の分析証明書(COA)から得られる結果を受け入れるつもりなら、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通して貴社の供給者の試験結果の信頼性をいかに確実に立証するつもりかを明記せよ。
    さらに、入荷した成分の各ロットの少なくとも特定の1つの同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。
  • 各成分の製造業者のCOAの信頼性を評価するために全ての成分の試験から得られた結果のサマリ
    このCOAのバリデーションプログラムについて述べた貴社のSOPを含めよ。
  • 貴社が製造した医薬品を試験する契約施設の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムのサマリ
  • 成分、容器、蓋の全ての供給者にそれぞれ適格性があり、原材料には適切な使用期限またはリテスト日が付与されているかどうかを判断するための原材料システムの包括的で独立したレビュ
    レビュでは、入荷した原材料の管理が、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐのに適切であることも判断せよ。
  • アメリカで流通している製品の製品品質や患者の安全性のリスクに対応するための、顧客への通知、回収、市場からの撤退の可能性を含む貴社のアクションプラン

●未承認の新薬と虚偽表示の違反

省略

●ベータラクタムの封じ込め

貴社が提出した記録は、貴社が貴社の製造所で他の医薬品に加えて、強力な化合物を製造していることも示している。ベータラクタムの管理について明らかにせよという複数の要求に対する貴社のそれぞれの回答の中で提供された記録は、ベータラクタム製品と非ベータラクタム製品の間の完全で包括的な分離が確立されていたことを保証していない。例えば、モニタリングと人の流れに関する以下の管理は確立されていなかった。

  • 封じ込めを立証する環境モニタリング
  • 休憩室やジムなどの共有空間内の人の流れの制限

極めて低い閾値量でアレルギー反応が起こりうるため、ベータラクタムの設備は、非ベータラクタムの設備と完全かつ包括的に分離されている必要がある。さらなる情報については、業界のガイドラインである
“Non-Penicillin Beta-Lactam Drugs : A CGMP Framework for Preventing Cross-Contamination”
を参照せよ。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製品に関する違反の包括的なリストでもない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
FDAは貴社で製造された全ての医薬品について、2021年6月16日に輸入警告措置66-40をとった。
違反が解決されたことを示すエビデンスがあり、当局が今後の輸入品がFD&C Actを遵守するという信頼をするまで、貴社で製造された全ての医薬品は輸入警告リストに残る。基準に適合していない状況に対処されたとFDAが認める前に査察を行うかもしれない。
全ての違反に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/laboratorio-pharma-international-srl-614766-09152021

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■CMS#613385■

インドの製造所の査察(2020年9月10日~2020年11月5日)でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について発した2021年6月11日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1

貴社は装置の洗浄及びメンテナンスに関する適切に文書化された手順を制定し、それに従うことを怠った。
<指摘1詳細>
貴社の打錠機及びXXを含む非専用装置の洗浄手順は不十分である。我々の査察官は、品質部門によって”クリーン“と保証されリリースされた打錠機の1つのXの内側に、前に製造された製品の残留物をみつけた。貴社はいくつかの強力な医薬品と非強力な医薬品を製造するためにこの打錠機を使用していた。
査察官は、XXの上と、XXのダクトXXの中でも残留物を発見した。2008年に設置されたXXに関する洗浄と予防的保全の手順は、これらのエリアまたはエアダクトの定期検査に関する洗浄の指図を含んでいなかった。
貴社は回答の中で、前に製造された医薬品の活性残留物が確認された打錠機XXから収集された残留物の分析試験を実施したと述べた。また貴社は、2つの異なる有効成分トリメトプリムとチニダゾールの存在が確認されたXXのダクトXXから収集された残留物の分析試験も実施したと述べた。
貴社はアメリカに出荷され使用期限内で、これらの非専用装置で製造された製品の保管サンプルについて、交叉汚染に関する試験をしなかったので、貴社の回答は不十分である。貴社は、残留物XXの試験結果は、許容可能なキャリーオーバーの最大値(MACO)を下回っていると述べた。
しかし、それは、交叉汚染が発生しなかったことを保証してはいない。さらに、残留物を覆うXXが発見され、交叉汚染防止の完全性の保証にならない。
貴社の是正処置・予防処置(CAPA)は製品の切り替え時、ダクトXXの洗浄を含むことを怠ったので、貴社が交叉汚染を防げるという保証はない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 交叉汚染の可能性に関して、上記に示したように貴社の打錠機とXXで製造され、使用期限内でアメリカ市場に出荷された製品の全ての保管サンプルを試験するという約束
    貴社の調査は、全ての潜在的な汚染源の評価を含めるべきである。さらに、試験には、目的に合っていて、製品が持つとされる濃度、品質、純度を持っていることを示すバリデートされた試験方法を使った分析を含むべきである。これに限定されないが、製品の名前、ロット番号、使用期限、実施された試験、試験方法の名前、規格、試験結果を含むサマリを提出せよ。もしそれらの試験で製品が品質の基準を満たさないことが明らかになった場合は、顧客への通知や製品の回収等の迅速な是正処置をとること。
  • 交叉汚染の危険の範囲を評価するための、洗浄の効果の包括的で独立した回顧的なアセスメント
    残留物の特定、不適切に洗浄されたかもしれないその他の製造装置、交叉汚染された製品が販売のために出荷されたかどうかのアセスメントを含めよ。
    アセスメントは洗浄の手順や業務の不十分さを確認し、2製品以上を製造するために使用される製造装置も網羅すべきである。
  • 手順や業務の適切な改善、頻度の評価、完了までのタイムラインを含む、貴社の洗浄及び予防的保全プログラムの回顧的アセスメントに基づくCAPAの計画
    装置の洗浄と予防的保全のライフサイクル管理に関する貴社の手順の脆弱性のサマリを提出せよ。効果の増大、全ての製品と装置に関する適切な実行の改善された継続的な検証、その他の全ての必要とされる改善を含む、これらのプログラムの改善について述べよ。
  • 貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を置いた洗浄バリデーションプログラムの適切な改善
    それには、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:
    • より高い毒性を持つ医薬品
    • より高い有効性を持つ医薬品
    • 洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
    • 洗浄を難しくする特性を持った医薬品
    • 洗浄を最も難しくする拭き取り場所
    • 洗浄前の最大保持時間
  • さらに、新し製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムで取られるはずの手順を述べよ。
  • 製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションを実施するための適切なプログラムを保証する改訂されたSOPのサマリ

●指摘2

貴社は、貴社が製造する医薬品が、それが持つとされる同一性、濃度、品質、純度を持っていることを保証するために設計された製造と工程の管理に関する文書化された手順を制定することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社は、製品の製造を新しい建物に移す前に、XX15㎎とXX30㎎に関する製造工程を適切にバリデートすることを怠った。貴社は、貴社の製造作業に対し行った、工程や装置の変更(例:有効成分の投入順番、異なるモデルXX)を適切に評価せず、製品品質への影響の確認を怠った。貴社は、これらの変更が行われたロットを製造し、アメリカ市場に製品を出荷した。これらのバリデートされていない変更のもとで製造されたいくつかのロットは、含量均一性に関し規格外(OOS)だった。
貴社のOOSの結果は、貴社の工程が安定していないことを示している。貴社は、製造工程が再現可能で、均一の性質と品質を持つ医薬品を一貫して製造するために管理されていることを適切に証明しなかった。
貴社は回答の中で、XXカプセルの製造作業において、OOSの根本原因である最適以下の工程性能の発生を認めたと述べた。貴社は、15㎎と30㎎の濃度に関する装置と工程の変更の実施と共に、各ロットの全ての規格への一致についてXXロットのバリデーションを完了したとも述べた。さらに貴社は、改善の実施と共に、濃度について、製造されたXXロットをモニタするための継続的な工程モニタリングの検証のためのサンプリング手順を開始したと述べた。
貴社は、バリデーション前に製造され、アメリカ市場に出荷されたロットが適切な濃度や品質を持っているという保証を提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。これらのロットについて実施された追加の同一性試験は、他の全ての製品の品質特性が適合していることを保証していない。
さらに、貴社は、安定した製造作業と一貫した製品品質を保証するための工程管理のモニタリングに関する適切な継続的プログラムを持っていない。貴社の継続的な工程モニタリングの検証のためのサンプリング手順は同一性しか評価していない。製品を移すタイミングで製造作業への変更がされた時、傾向外(OOT)の分析結果が確認された。
FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える一般的な原則とアプローチについて、FDA のガイダンス文書Process Validation : General Principles and Practicesを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ:

  • 製品のライフサイクルを通して管理状態を保証するための貴社のバリデーションプログラムの、関連手順も含めた詳細なサマリ
    XX30mgの継続的な工程モニタリングの検証のためのサンプリング手順のバリデーションレポート、XX15mg、XX30mgに関するリスクアセスメントのレポートを含めよ。継続的な管理状態を保証するための工程の性能適格性評価、ロット内及びロット間のばらつきの継続的なモニタリングに関するプログラムについて述べよ。
  • 貴社が販売した各医薬品の適切な工程の性能適格性評価の実施に関するタイムライン
  • 各ロットの製造中のばらつきの検知を高めるための、改善された工程内の試験とモニタリング
    これに限定されないが、上流の工程管理をより確実にモニタするための改善されたサンプリングを含む、改善された工程内の品質基準を含めよ。その改善が、工程のばらつきと製造の不具合の早い検知をいかに保証するかについて述べよ。また、消費者が品質の基準を満たさない医薬品にさらされることを防ぐこと。

●指摘3

貴社は、品質管理部門に適用する適切に文書化された責任と手順を制定し従うことを怠った。
<指摘3詳細>
貴社の品質部門(QU)は、貴社が製造した医薬品の濃度、品質、純度を保証するために適切に文書化された手順を制定してそれを順守することを怠った。例えば、

  • 貴社の、許容可能なキャリーオーバーの最大値(MACO)を変更するためのレビュと承認に関する洗浄バリデーションプロトコルの手順は、適切なQUの管理を必要としていなかった。
    特に、この手順は、非専用装置で製造された強力な医薬品と非強力な医薬品に関し、試験方法と、承認された洗浄のMACOの限界値のQUによるレビュを必要としていなかった。貴社は、これらの医薬品の試験方法が新しく制定された限界値を量ることができることを保証しなかった。
  • 貴社は、211.180(e)及び貴社の制定された手順で必要とされている年次製品照査(APR)を適切に履行することを怠った。2019年がAPRの期限のいくつかの製品は査察時点で保留のままだった。貴社の手順は医薬品の契約日のXX日以内にAPR完了を必要求めていた。

貴社は以前に、全ての製造所で、分析方法の等価、洗浄バリデーションの手順、APRの手順を強化し、会社の品質保証の管理をすると全社規模で約束した。
貴社は回答の中で、貴社の洗浄バリデーションプログラムのより確実なQUの監督の必要性を認め、リスクアセスメントと影響評価の方法を含めるよう貴社の洗浄バリデーションと検証の手順のSOP NL-VA-002に改訂したと述べた。貴社は、QU以外の試験管理部門が、試験方法のバリデーションに関する標準操作手順書(SOP)をレビュし承認する権限を持っていることも明らかにした。貴社は、SOPは連携と一貫性のある実行のために調和がとられていたと述べた。
さらに、貴社は、主としてAPRに責任のある個人が追加のQUの任務も責任を負い、XXの表計算の手順は、XXシステムに置き換えられたとも述べた。
貴社は、製造された医薬品の同一性、濃度、品質、純度に影響を与える手順を承認する責任をQUに付与することを保証する全ての文書化された手順の包括的なアセスメントを提出することを怠ったので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ:

  • 貴社のQUが効果的に機能するための権限とリソースを与えられていることを保証するための包括的なアセスメントと改善計画
    アセスメントには、これに限定されないが、以下のことも含めるべきである:
    • 貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
    • 貴社のQUが、任命されたQUの権限を行うために、適切な教育、訓練を受け、経験を持っているかどうかの判断
    • 適切な手順の順守を評価するために、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
    • QUの出荷判定の前の各ロットの完全で最終的なレビュとそれに関連する情報
  • これに限定されないが、新たに発生した製造/品質の問題に積極的に対応し、継続的な管理状態を保証するために、リソースのタイムリーな提供を含んだ、経営陣がいかに品質保証と信頼できる作業をサポートするかについても述べよ。

●複数製造所での繰り返しの違反

FDAは貴社の組織内の製造所で同様のCGMP違反を挙げていた。

  • 2019年9月10日、XXの製造装置の不十分な洗浄と不十分なプロセスバリデーションに関して、ウォーニングレターが発行された。
  • 2017年11月6日に2か所の製造所にCGMPに関するウォーニングレターが発行され、それに対して、会社の品質コンプライアンスとグローバルな品質ガバナンスを強化するという約束がされた。

複数の製造所での繰り返される違反は、貴社の医薬品の製造に関する監督や管理が不適切であることを示している。貴社は、全ての製造所で、システムや工程、最終的には、貴社で製造される医薬品がFDAの要件に従うことを保証するために貴社の製造作業をより包括的に評価すべきである。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製品に関する違反の包括的なリストでもない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
もし貴社が貴社の製造所で生産される医薬品の供給に混乱を引き起こしそうなアクションを検討しているならば、FDAが貴社の作業が法律に従うために最も効果的な方法で働くために、FDAはCDERの医薬品不足スタッフにすぐに連絡をとることを要求する。
医薬品不足スタッフへの連絡は、貴社の医薬品製造の中断または休止を報告する義務を果たすこともできる。これは、FDAが出来るだけ早く貴社の製品の不足を防ぎ、貴社の製品に依存する患者の健康を守るために必要なアクションを考えることを可能にする。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限、差し押さえ、強制命令を含むさらなる通知をせず、規制または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/novel-laboratories-inc-dba-lupin-613385-06112021

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回も、入荷成分や製品の不十分な試験、安定性の不十分な管理が指摘されていましたが、それに加えて、封じ込めや交叉汚染対策の不備の指摘がみられました。
専用設備・装置が使えればそれに越したことはないですが、それが出来ない場合は、製造する側は洗浄や保全の手順の整備と順守、また査察する側は交叉汚染対策の確認が必要であるとあらためて思いました。

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【発行責任者】

株式会社プロス 『ASTROM通信』担当 橋本奈央子 hashimoto@e-pros.co.jp

※本記事は株式会社プロスの許可を得て転載しております。

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