【最近のウォーニングレター】ASTROM通信 275号

今年は秋分の日を過ぎてもなかなか涼しくなりませんが、いかがお過ごしですか。

今回もアメリカ食品医薬品局(FDA)がアメリカ国内外の製薬会社に出したウォーニングレター3件を取り上げ、FDAがどのような点を問題視し指摘したかを確認していきたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。

最近のウォーニングレターの概要  

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。

■CMS 656056■

2023年2月13日~2月28日のフロリダ州の製造所の査察でみつかった医薬品に関するCGMP違反について発した2023年8月17日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1

貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに準拠し、同一性、濃度、品質、純度に関して制定された規格を満たすことを保証する責任を果たすことを怠った。(21 CFR 211.22)
<指摘1詳細>
貴社の品質システムは不十分だった。貴社の品質部門(QU)は貴社のOTC医薬品の製造に関し、適切な監視をすることを怠った。例えば、貴社のQUは以下の保証を怠った:

  • これに限定されないが、以下の権限と責任を含む適切な監督:
    • QUの役割と責任に関する文書化された手順
    • 全ての成分と医薬品の承認/拒絶
    • 完全性を保証し、調査が必要なエラーがないことを保証するための製造指図記録のレビュ
    • 医薬品の同一性、濃度、品質、純度に影響を与える全ての手順と規格の承認/拒絶
  • 成分、医薬品の容器、蓋は、ロットがサンプリングされ、使用に適しているかテストまたは検査され、リリースされるまで、使用が差し控えられる

貴社は回答で、CGMPに準拠するために新しい手順を制定し実装するつもりであると述べている。
しかし、貴社は、詳細な是正処置と予防処置(CAPA)、変更管理のために更新された手順、製品の年次レビュ、明確に定義されたQUの役割、実装のための時間枠を提出しなかった。また貴社は、全ての要件を満たし、エラーはロットのリリース前に特定されていることを保証するためにQUがいかに作業を監視するかも示していない。
医薬品の品質を一貫して保証するためにはCGMPの全ての要素を監視する適切なQUが必要である。
貴社の品質システムは不十分である。CGMPの要件である21 CFR parts 210, 211を満たすための品質システムとリスクマネジメントのアプローチを実装する助けとして、
FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
この文書への回答の中で、貴社のQUが効果的に機能するために、権限とリソースが与えられていることを保証するための包括的なアセスメントと改善の計画を提出せよ。アセスメントにはこれに限定されないが、以下のことも含むべきである:

  • 貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
  • 適切な手順の遵守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
  • QUのロットの処遇の決定前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュの実施
  • 調査の監督と承認と、全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するためのQUのその他全ての職務の遂行

●指摘2

貴社は、成分、医薬品の容器、蓋の各ロットがサンプリングされ、使用に適しているかテストまたは検査され、品質管理部門により使用のリリースがされるまで使用を差し控えることを怠った。貴社は、医薬品の成分の同一性を確認するために少なくとも1つの試験を行うことを怠った。また貴社は、成分の供給者の分析試験の信頼性を適切な間隔でバリデートし確証することを怠った。(21 CFR 211.84(a), 211.84(d)(1), 211.84(d)(2))
<指摘2詳細>
貴社は、医薬品を製造するために使用される入荷した成分の試験を適切に実施することを怠った。
例えば

  • 貴社は、医薬品の製造に使用されるグリセリンとプロピレングリコールのジエチレングリコール(DEG)とエチレングリコール(EG)の汚染の可能性について、特定の同一性試験が不足していた。
    グリセリンとプロピレングリコールが配合された貴社の製品の一部は、小児科の経口使用が意図されている。

貴社は、回答の中で、医薬品の製造のためにリリースする前に、適切な同一性試験を含めるために、グリセリンとプロピレングリコールの原材料の規格を改訂すると約束した。
貴社の回答は不十分である。貴社は現在倉庫の中にあるグリセリンとプロピレングリコールのロットの適切な同一性試験を含めなかった。さらに貴社は、医薬品の製造に使用する前に、グリセリンとプロピレングリコールの全てのロットの全ての容器の同一性試験を示す十分なエビデンスを提出することを怠った。貴社は、ハイリスクの成分の各ロットを代表するサンプルの適切な試験が不足している。成分の適切な試験がなしに、貴社は、貴社の医薬品の品質と安全性を保証できない。
DEGまたはEGで汚染された成分の使用は、世界中の人々に様々な致命的な中毒事件をもたらしてきた。
DEGまたはEGの汚染のリスクがある成分を含む医薬品の製造の際に貴社がCGMP要件を満たす助けとして、FDAのガイダンス文書Testing of Glycerin, Propylene Glycol, Maltitol Solution, Hydrogenated Starch Hydrolysate, Sorbitol Solution, and Other High-Risk Drug Components for Diethylene Glycol and Ethylene Glycol
を見よ。

  • 小児用のOTCの咳や風邪の医薬品に使われるものを含む、貴社の入荷した成分の試験は、使用前に成分の各ロットの同一性試験を含んでいなかった。いくつかの原薬のロットは、同一性を含む適切な受入試験を実施せずに製造にリリースされた。たとえば、原薬XXは、貴社の供給者の適格性評価や同一性試験を実施せずにXXを製造するために使用された。

貴社は回答の中で、入荷した成分の受入に関する手順を改訂するだけでなく、入荷した全ての成分の試験を地元の試験機関に外部委託すると約束した。また貴社は、原材料に関して必要な全ての試験を含めるよう手順を改訂し、以前にリリースされた成分のロットの保管サンプルを試験する計画も立てた。貴社の回答は不十分である。貴社はCGMPの不備の範囲と影響にも、既に流通しているロットのもたらすリスクへの対処を含む製品品質に関連するリスクにも対処していない。成分の適切な試験もなしに、貴社は医薬品の品質や安全性を保証できない。

  • 貴社は、原薬の供給者を含む、原材料の供給者の信頼性を適切に確証していなかった。例えば貴社は、供給者の適格性を評価しておらず、貴社の文書化された手順LAB 06 Version#3に従っていなかった。

貴社は回答の中で、供給者の適格性評価を実施すると約束した。
貴社の回答は、供給者の信頼性を評価するための詳細な計画を提出しなかったので不十分である。
貴社の手順は、成分の属性を包括的に評価する必要性を明記しておらず、再適格性評価の適切な間隔を定めていなかった。
我々は、2023年5月12日のFDAの査察と協議の後、貴社が流通中で使用期限内の医薬品を製造するのに使用されていたグリセリン、プロピレングリコール、XX、XX、XXの保管バルクを分析のために送ったことを認識している。提供された結果により、貴社は試験された保管サンプルにDEG/EGの汚染はなかったと結論づけた。
FDAとの議論から、貴社は、医薬品の製造前に、DEG/EGの汚染の可能性について、入荷したハイリスクの成分のロットの代表的なサンプルの試験をすると述べた。
この文書への回答中で、以下を提供せよ:

  • DEGまたはEGの汚染のリスクがある成分(これに限定しないがグリセリンを含む)を含む、使用期限内の医薬品の完全なリスクアセスメント
    DEGまたはEGを含む可能性のある成分と関連医薬品の全てのロットの安全性を判断するために、顧客への通知や汚染されたロットに関する製品の回収を含む迅速で適切なアクションをとれ。これに限定されないが、入荷した原材料の全てのロットが、完全に適格性評価をされた供給者からのもので、安全でない不純物を含んでいないことの保証を含む、今後のサプライチェインを保護するための追加の適切な是正処置・予防処置を明らかにせよ。この文書への回答の中で詳細なアクションプランを説明せよ。
  • 成分の各ロットの同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な仕様への一致をいかに試験するつもりかの記述
    各成分の試験の規格と試験の方法のリストを含めよ。もし、濃度、品質、純度に関して成分の各ロットの試験をする代わりに供給者の分析証明書(COA)の結果を受け入れるつもりなら、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通して供給者の試験結果の信頼性をいかに確実に確証するかを明記せよ。さらに必要に応じて、入荷した成分の各ロットについて、少なくとも1つの特定の同一性試験を実施するという約束を含めよ。グリセリン、プロピレングリコール、特定の追加のハイリスクの成分の場合、アメリカ薬局方(USP)モノグラフのパートA, B, Cの実施が含まれることに注意せよ。
  • 純度、濃度、品質に関する適切な試験なしに製造に使用するために適格と評価されリリースされた成分のリスクアセスメント
  • 製造の使用の許容性を判断するために、ハイリスクの医薬品成分の入荷ロットの適合性を試験し判断するために貴社が使用する化学的品質管理の規格
  • 成分、容器、蓋の全ての供給者が適格と評価され、原材料には適切な使用期限またはリテスト日付が付与されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的なレビュ
    レビュは、入荷した原材料の管理が、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために適切かどうかも判断すべきである。
  • 各成分の製造業者のCOAの信頼性を評価するために全ての成分の試験から得られた結果のサマリ
  • 成分と貴社が製造した医薬品を試験する契約試験機関の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムのサマリ

●指摘3

貴社は、貴社が製造する医薬品が、それが持つとうたわれている、または、表示されている、同一性、濃度、品質、純度を持っていることを保証するために設計された製造と工程管理に関する手順を文書化して制定することを怠った。また貴社の品質管理部門は変更を含むそれらの手順をレビュし承認することを怠った。(21 CFR 211.100(a))
<指摘3詳細>
貴社は、貴社の医薬品製造工程に関する、適切なプロセスバリデーションプログラムと十分なバリデーションの検証が不足していた。例えば、貴社のプロセスバリデーションプログラムは、貴社が製造する全ての製品を包含するものではなかった。査察中、貴社は、貴社のプロセスの適格性評価(PPQ)の検証は不完全であることを認めた。
貴社は回答で、バリデーションの不足が問題の根本原因で、プロセスバリデーションの活動を完了させると約束した。また貴社は、バリデーションの検証の完了に関する手順とタイムラインを提出するつもりであると述べた。
貴社の回答は、製品の販売前に固有のPPQの検証が完了していることを保証する約束をしていないし、販売された医薬品のリスクアセスメントも含めていない。
プロセスバリデーションは、設計の妥当性と、プロセスのライフサイクルを通して管理状態を評価する。
製造プロセスの重要な各段階は適切に設計され、投入される原材料、工程内材料、最終製品の品質を保証しなければならない。PPQの検証は、初期の管理状態が確立されているかを判断する。
工程の適格性評価の完了が商業用の販売の前に必要である。その後、製品のライフサイクルを通じて、貴社が安定した製造作業を維持していることを保証するために、工程性能と製品品質の継続的で慎重な監視が必要である。
製品品質に影響を与える全ての製造の投入とパラメータを組み込んだ適切なプロセスバリデーションの検証がなければ、貴社が規格を満たす製品を再現可能に提供できるという基本的な保証が不足している。
FDAがプロセスバリデーションの適切な要素と考える一般原則とアプローチに関し、
FDAのガイダンス文書Process Validation : General Principles and Practicesを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 医薬品の販売の前に貴社がいかに適切なバリデーションを保証するつもりかも含めて、販売されている貴社のそれぞれの医薬品の適切なPPQの実施のタイムライン
  • 貴社の工程性能のプロトコル、装置及び施設の文書化された適格性評価の手順
  • 継続的な管理状態を保証するための、ロット内及びロット間のばらつきの慎重な監視を含む、各製造工程の設計、バリデーション、維持、管理、モニタリングに関する詳細なプログラム
  • 不適切にバリデートされた工程を使って製造された販売済の医薬品に関するリスクアセスメント

●指摘4

貴社は、医薬品の製造、加工、包装、保持に使用される、自動の機械、電子機器、または、コンピュータを含むその他のタイプの装置の適切な性能を保証するために設計された文書化されたプログラムに従って、定期的に校正、検査、チェックすることを怠った。また貴社は、許可された職員のみが製造指図書原本やその他の記録の変更を行うことを保証するために、コンピュータまたは関連システムに対して適切な管理を行うことを怠った。(21 CFR 211.68(a),(b))
<指摘4詳細>

  • 貴社は、貴社のOTC医薬品の製造装置が意図した用途に適していて適格性評価がされていることを示す文書を提出できなかった。貴社は、貴社のOTC医薬品の製造装置の適格性評価をしていないことを認めた。

貴社は回答の中で、装置の適格性評価の計画を提出すると約束した。また貴社は、完成していない適格性評価のプロトコルがあるとも述べた。
貴社の回答は不十分である。貴社の回答には、装置の適格性評価のプラン、装置の適格性評価のプロトコル、完了までのタイムライン、適格性評価のされていない装置を使って貴社が製造した医薬品のリスクアセスメントが含まれていない。

  • 最終製品のリリースのための分析データを生成するために使用される試験装置は、アクセスの制限と十分な管理が不足していた。例えば、一部の試験室の職員は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)のファイルの削除や変更をするための自由なアクセスを許す管理者権限を持っていた。貴社には、コンピュータ化システムで生成されたデータを削除または変更した個人のトレーサビリティを容易にするメカニズムがなかった。さらに貴社は、貴社の試験装置で生成されたデータのバックアップを適切に保持していなかった。

貴社は回答の中で、HPLCのソフトの使用に関する知識の不足を認めた。
貴社の回答は不十分である。貴社の回答は、データ・インテグリティを保証するために必要な改善や専門知識(例:管理、能力)の詳細が記載されていない。また貴社の回答には、貴社が製造した医薬品の安全性、有効性、品質を裏付けるデータの正確性と完全性に関する回顧的なレビュとCAPAの提供が含まれていない。さらに、貴社の回答はデータ保持に対処していない。

  • 貴社は、原薬を含む医薬品の成分の計量に使用される製造用の秤を定期的に校正していなかった。
    例えば、貴社のXXのキャリブレーションチェックは1つの分銅のみ文書化されていた。

貴社は回答の中で、貴社が製造用の秤を適切に校正することを怠ったと認めている。
貴社の回答は不十分である。貴社の回答はいかに製造用の秤を校正するつもりかの詳細を含んでおらず、キャリブレーションの手順も、規定された製造の重量との不整合により影響を受けた可能性のある以前に製造された医薬品のロットを評価するための計画も提供していない。
完全で正確な記録がなければ、貴社は医薬品の品質を継続的に保証するための基本的なロットのリリース、安定性、その他の判断を適切に行うことが出来ない。
CGMPに準拠したデータ・インテグリティの手順を制定し従うためのガイダンスとして、
FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMPを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 文書手順が不十分な場所を特定するための、貴社の製造及び試験の作業全体で使用される文書化システムの完全なアセスメント
    貴社が、貴社の作業を通じて、帰属可能で判読可能、完全で原本性があり正確で同時性のある記録を保持していることを保証するために、貴社の文書化手順を包括的に改善する詳細なCAPAの計画を含めよ。
  • コンピュータシステムのセキュリティと完全性に関する包括的で独立したアセスメントと是正処置・予防処置(CAPA)の計画
    貴社の試験及び製造の各コンピュータシステムの設計と管理の脆弱性と、適切な改善を明らかにするレポートを含めよ。このレポートには、これに限定されないが以下のことを含むべきである。
    • 試験室で使用される、全てのハードウエアと機器(スタンドアロン及びネットワーク型のリスト
    • ネットワーク化されたシステムと、ネットワーク化されていないシステム(例:PLC)を網羅したハードウエアとソフトウエアの脆弱性の特定
    • 全てのソフトウエアの機器構成(機器のソフトウエアと試験情報管理システム(LIMS)の両方)とバージョン、全てのユーザ権限の詳細、貴社の各試験システムの監督責任のリスト
      ユーザ権限については、試験のコンピュータシステムにアクセスできる全ての職員の役割と関連するユーザ権限(管理者権限を持つ人に許される特定の権限を含む)と、職員の組織上の所属と役職を明記せよ。また、試験職員に、データ保持や信頼を損なう管理者権限やそのほかのアクセス許可が与えられないことを保証する方法についても述べよ。
    • これに限定されないが、ユニークなユーザ名/パスワードが常に使用され、それらの機密性が保護されているかどうかを含むシステムセキュリティの規定
    • 監査証跡データの堅固な使用とレビュの詳細な手順と、貴社の各システムの現在の監査証跡実装の状態
    • 試験データの管理、レビュ、完全な保持のための、暫定的な管理方法と手続き上の変更
    • スタンドアロンの機器(例:天秤、pHメータ、含水量試験)から電子システムを通して生成されたデータのLIMSネットワークへの統合を向上するための技術的な改善
    • これに限定されないが、不正アクセスを防止し、適切なユーザの役割の付与、全ての分析の二次レビュと他のシステムの管理を保証するためのシステムのセキュリティ管理を含む、手順上の改訂と関連する教育の詳細なサマリ
    • 貴社の記録内の情報への全ての追加、削除、変更が承認されていて、全てのデータが保持されていることを保証するための、電子及び紙ベースのデータの厳格で継続的管理を確実にする修正プログラム貴社の完全なCAPAの計画とこれまでに実施された全ての改善を提出せよ。
    • QA責任者、経営陣、適切なIT専門知識(例:インフラ、構成設定、ネットワーク要件、管理者権限の厳格な分離の理解)を持つ内部監査員による監督のための規定
    • 試験システムの設計、管理、職員の業務の、過去3年間の貴社のデータの正確性、完全性、保持に与える影響に関する独立した徹底的な回顧的アセスメント
  • 貴社の施設及び装置の定期的で慎重な運用管理の監視を実装するためのCAPAの計画と改訂されたSOP
    この計画は、とりわけ、装置/施設の性能の問題の迅速な検知、適切な予防保全スケジュールの遵守、継続的なマネジメントレビュのためのシステムの改善を保証するべきである。
  • これに限定されないが、秤のキャリブレーション(認定された分銅を使った日々のキャリブレーションチェック、定期的なチェックが実際の動作範囲に対応していることの保証)を含む、貴社の改善された校正プログラム

●効果のない品質システム

この文書内の重大な調査結果は、貴社がCGMPに従った効果的な品質システムを運用していないことを示している。信頼できる施設と装置を保証するための製造作業の効果的な監視の不足に加え、我々は、貴社の品質部門が適切な権限を行使できない/その責任を十分に果たしていないことを発見した。貴社はシステム、工程、製造された製品がFDAの要件に準拠していることを保証するために、製造作業全体をすぐに包括的に評価するべきである。CGMPの規制21 CFR Part 210, 211の要件を満たすために、品質システムとリスクマネジメントのアプローチを実装する助けとして、
FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。

●品質部門の権限

貴社の査察の履歴は、貴社の品質部門がその権限/責任を完全に果たすことができないことを示している。
品質部門がその責任を実行し一貫した医薬品の品質を保証するために、貴社は適切な権限と十分なリソースを与えなければならない。

●CGMPコンサルタントの推奨

貴社が繰り返しの違反の是正を怠っているため、我々は、貴社のCGMPの要件を満たすための助けをする21 CFR 211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うことを強く勧める。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

●受託業者としての責任

医薬品はCGMPに準拠して製造されなければならない。FDAは多数の医薬品製造業者が製造設備、試験機関、包装業者、ラベル貼付業者などの独立した委託業者を使用していることを認識している。FDAは委託業者を製造業者の延長とみなす。
貴社には、プロダクトオーナーとの契約に関わらず、貴社の製造する医薬品の品質に責任がある。貴社には、医薬品が安全性、同一性、濃度、品質、純度に関し、FD&C Act 501(a)(2)(B)に従って製造されていることを保証することが求められている。
FDAのガイダンス文書Contract Manufacturing Arrangements for Drugs : Quality Agreements
を見よ。

●施設での繰り返しの違反

過去のウォーニングレター(FLA-05-13)と、2004年6月28日~7月8日、2005年8月15日~8月24日、2009年6月15日~6月23日、2011年1月25日~3月1日、2016年9月10日~9月16日の査察にて、FDAは同様のCGMP違反を指摘している。貴社は回答の中で、これらの違反に関して具体的な改善を提案した。繰り返しの不備は、医薬品の製造の経営陣による監視と管理が不十分であることを示している。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、全ての違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題に迅速かつ適切に対応しない場合、通知なしで、差し押さえや差し止め命令を含む規制または法的措置につながる可能性がある。未解決の違反は、他の連邦政府当局との契約を阻むかもしれない。
違反への対応の不履行は、FDAの輸出証明書の発行の差し控えにつながる可能性がある。全ての違反が完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。また、我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/lex-inc-656056-08172023

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■Warning Letter 320-23-36■

2023年3月3日に提出された記録のレビュで見つかった韓国の製造所の医薬品製造の重大なCGMP違反について発した2023年8月23日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1

貴社は、医薬品の成分の同一性を確認すために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。
(21 CFR 211.84(d)(1))
<指摘1詳細>
貴社は、XXを含むOTC医薬品を製造していた。貴社の提供した記録と情報は、貴社がXX汚染のリスクが高い入荷した成分の各ロットの各積み荷を適切に試験したことを示していなかった。これに限定されないがこれらの成分や、その他の特定のハイリスクの医薬品成分に関する同一性試験は、XXのレベルに関する安全性の限界を満たしていることを保証するためにアメリカ薬局方(USP)の限界試験が含まれている。危険な不純物を検知するUSP同一性試験を使って、各ロットの積み荷に同一性試験を実施しなかったので、貴社は医薬品の製造に使用するためにこれらの成分の許容性を保証するのを怠った。
XXに汚染された成分の使用は、世界中の人々に様々な致命的な中毒事件をもたらしてきた。
XXでXXの汚染のリスクが高い成分を含む医薬品の製造の際に貴社がCGMP要件を満たす助けとして、FDAのガイダンス文書XXを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • この文書の日付から30歴日以内に、医薬品の製造に使用されるハイリスクの医薬品成分の全てのロットの保管品の試験から得られたXX試験の結果を提出するという約束または、成分の保管品のロットが利用できない場合、XXの存在について、関連する全ての製品のロットの保管サンプルの試験を実施せよ。
  • XXの汚染のリスクがある成分を含む、使用期限内の製品の完全なリスクアセスメント
    XXを含む可能性のある成分と関連医薬品の全てのロットの安全性を判断するために、顧客への通知や汚染されたロットに関する製品の回収を含む迅速で適切なアクションをとれ。これに限定されないが、入荷した原材料の全てのロットが、完全に適格性評価をされた供給者からのもので、安全でない不純物を含んでいないことの保証を含む、今後のサプライチェインを保護するための追加の適切な是正処置・予防処置を明らかにせよ。この文書への回答の中で詳細なアクションプランを説明せよ。
  • 成分の各ロットの同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な仕様への一致をいかに試験するつもりかの記述
    もし、濃度、品質、純度に関して成分の各ロットの試験をする代わりに供給者の分析証明書(COA)の結果を受け入れるつもりなら、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通して供給者の試験結果の信頼性をいかに確実に確証するかを明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロットについて、少なくとも1つの特定の同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。XX、プロピレングリコール、特定の追加のハイリスクの成分の場合、アメリカ薬局方(USP)モノグラフのパートA, B, Cの実施が含まれることに注意せよ。
  • 製造の使用の許容性を判断するために、ハイリスクの医薬品成分の入荷した各ロットの許容性を判断するために貴社が使用する化学的品質管理の規格
  • 成分、容器、蓋の全ての供給者が適格と評価され、原材料には適切な使用期限またはリテスト日付が付与されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的なレビュ
    レビュは、入荷した原材料の管理が、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために適切かどうかも判断すべきである。

●指摘2

貴社は、全ての成分、医薬品の容器、蓋、工程内原料、包装材料、ラベル、医薬品の承認/拒絶をする責任と権限を持った適切な品質管理部門を制定することを怠った。(21 CFR 211.22(a))
<指摘2詳細>
貴社が提供した記録と情報は、貴社の品質部門(QU)が貴社の医薬品製造作業の品質を監督するための責任を効果的に果たしていなかったことを示している。具体的には、貴社のQUは貴社の原材料システムにおいて、成分の承認/拒絶の権限を適切に果たしていなかった。
貴社のQUはその権限と責任を完全に果たす責任がある。FDAは貴社のQUが製造、施設&装置、試験管理、包装&ラベルシステムを含む他のCGMP作業に関して、適切な監視を行っていない可能性を懸念している。
CGMPの規制21 CFR parts 210,211の要件を満たすために品質システムとリスクマネジメントアプローチを実装する助けとして、
FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 貴社のQUが効果的に機能するために権限とリソースを与えられていることを保証するための包括的なアセスメントと改善計画
    アセスメントには、これに限定されないが、以下のことを含むべきである:
    • 貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
    • 適切な手順の遵守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
    • QUのロットの処遇の決定前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュの実施
    • 調査の監督と承認と、全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するためのQUのその他全ての職務の遂行

●CGMPコンサルタントの推奨

我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、貴社がアメリカ市場向け医薬品の製造を再開するつもりなら、貴社の作業を評価し貴社がCGMPの要件を満たすための助けをする21 CFR 211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うべきである。貴社がFDAと共に貴社のコンプライアンス状態の解決を達成しようとする前に、適格なコンサルタントが貴社のCGMP遵守に関し貴社の全ての作業に関する6つのシステム(※)の包括的な監査を実施し、CAPAの完了と効果も評価すべきである。
※6つのシステム:品質システム、施設及び装置のシステム、原材料システム、製造システム、 包装&ラベル貼付システム、試験管理システム
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、全ての違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
FDAは、貴社に対し2023年7月17日に輸入警告措置66-40をとった。
全ての違反を速やかに是正せよ。全ての違反が完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。また、我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/green-pharmaceutical-co-ltd-663544-08232023

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■CMS 657886■

2023年3月7日~3月16日のマサチューセッツ州の製造所の査察でみつかった医薬品に関するCGMP違反について発した2023年9月5日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1

貴社は、全ての医薬品が、前の操作から除去されていることを保証するために、使用直前に包装及びラベル貼付施設を適切に調査していない。(21 CFR 211.130(e))
<指摘1詳細>
貴社は医薬品の製造業者及び再包装業者として運営されている。貴社は取り違えを防止し、後続の作業に適さない全ての原材料が除去されていることを保証するための適切な管理を実施することを怠った。査察中、我々査察官は、81㎎のチュアブルアスピリン錠を包装している間に、市販のブリスター包装機XXの上と下で、異なるカプセルや錠剤を発見した。ブリスター包装機の上や周りでみつかった錠剤は、バッチレコードがラインクリアランスが実行されたことを示しているにも関わらず、貴社のバッチレコードの現在の実行に属していなかった。包装機械の上および下のさまざまな錠剤やカプセルの存在はラインクリアランスが適切に実施されなかったことを示している。不十分なラインクリアランスは、潜在的に危険な医薬品の取り違えのリスクを増す。
特に貴社は、製品の取り違えに関する苦情の歴史があり、顧客の苦情により、内部の回収を実施したことがある。例えば、臓器移植拒絶反応を防ぐための医薬品で貴社が再包装したタクロリムスはビタミンを含んでいた。別の例では、血栓を防ぐための医薬品でエノキサパリン80㎎を貴社は30㎎の濃度としてラベル貼付をした。我々は、貴社がタクロリムスを後で回収し、誤ってラベル貼付されたエノキサパリンのシリンジは顧客が返品したことに気付いている。
貴社の回答の中で、貴社の作業者はラインクリアランスの再教育を受け、貴社の再包装作業に追加の検証ステップを追加したと述べた。しかし、貴社の製造記録はラインクリアランスの実施に関する詳細な記録が不足している。
この文書への回答の中で、故障モード、機能、設計の十分性に重点を置いて、包装トラベル貼付作業の包括的な評価の情報を提供せよ。これに限定されないが、人的ミスが起きる可能性のある全てのポイントを特定するために、操作前、操作中、操作後(例:クリアランス)の機器と人の全ての相互作用を含む分析を提出せよ。

●指摘2

貴社は、装置の洗浄とメンテナンスに関する適切に文書化された手順を制定しそれに従うのを怠った。
(21 CFR 211.67(b))
<指摘2詳細>
貴社は、貴社の医薬品の製造をするために使用される装置の適切な洗浄とメンテナンスの手順に欠けている。査察中、我々査察官は、“クリーン状態”に保たれていた、錠剤の包装に使用される非専用装置XXの製品接触面に、正体不明の白い粉の残留物を発見した。さらに、2019年の洗浄の再適格性評価のサマリレポートは、適切な科学的根拠もなく、製品の”ランダムな選択“が利用されていた。洗浄中、製造装置からの医薬品残留物の不十分な除去は、同じ装置でその後に再包装される医薬品の交叉汚染につながる可能性がある。
貴社は回答の中で、”ほこりのような原材料“がXXに蓄積するのを防ぐために、密閉されたキャビネットの中に”洗浄された“XXを保管するための計画について述べている。また貴社は、使用前の強制的な洗浄手順を含めるために、貴社の洗浄の標準操作手順書(SOP)を改訂しているとも述べた。貴社は、“クリーン”なXXの上に発見された白い粉の残留物の正体を特定していないので、貴社の回答は不十分である。また貴社は貴社の洗浄手順の妥当性についても対処していなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を置いた洗浄バリデーションプログラムへの適切な改善
    改善には、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:
    • より高い毒性を持つ医薬品
    • より高い有効性を持つ医薬品
    • 洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
    • 洗浄を難しくする特性を持った医薬品
    • 洗浄を最も難しくする拭き取り場所
    • 洗浄前の最大保持時間

さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムでとられるべき手順を述べよ。

  • 製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションのための適切なプログラムが実施されていることを保証する最新の標準操作手順(SOP)のサマリ

●指摘3

貴社は、純度、濃度、品質に関して文書化された規格への準拠について各成分のサンプルを試験することを怠った。(21 CFR 211.84(d)(2))
<指摘3詳細>
貴社は、貴社の医薬品の成分として水を使用している。貴社は、同一性、純度、濃度、その他の適切な品質特性を判断するために、処方薬を製造するために使用されるUSP XX水とXX水を含む入荷した成分を試験することを怠った。査察中、貴社は、XXの製造に使用するためにUSPXX水を購入し、目視検査のみ実施して、他の試験は実施していないと査察官に伝えた。医薬品用の水はその使用目的に適していて、適切な化学及び微生物特性に継続的に一致していることを保証するために定期的かつ適切に試験されなければならない。
貴社は回答の中で、成分の水を試験するために、契約試験機関を使う計画をしていると述べた。貴社は、CGMPの不備の全体的な範囲と影響や、既に販売されているロットを含む医薬品の品質に関連するリスクに対処していないため、貴社の回答は不十分である。また貴社の回答は、貴社がXX水の試験をするために契約試験機関の適合性をどう評価するかについての情報も欠けている。
適切な試験もなしに、貴社が購入した水が、医薬品を製造するのに適した最低限の微生物及び化学的標準を満たすという保証はない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 出荷されたXXの全てのロットに関する、安定性試験を含む過去2年間の微生物試験結果
  • 水の供給者の適格性を評価するために貴社が用いた水のサンプルの微生物試験の結果
  • 製造に使用するために入荷した成分の各ロットがUSPモノグラフの規格及び適切な微生物の限界値を満たしていることを保証するための、試験及びリリースのために使用している化学及び微生物の品質管理規格
  • 同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な規格への一致に関し、各成分をいかに試験するつもりかの説明
    もし貴社が、濃度、品質、純度に関して成分の各ロットを試験するかわりに供給者のCOAの分析結果を受け入れるつもりなら、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じて、供給者の分析結果の信頼性をいかに確実に確証するつもりか、明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロットについて、少なくとも1つの特定の同一性試験を実施するという約束を含めよ。

●指摘4

貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPと、同一性、濃度、品質、純度に関して制定された規格を満たすことを保証するための責任を果たすことを怠った。(21 CFR 211.22)
<指摘4詳細>
貴社の品質部門(QU)は、紙の記録の適切な文書管理を保証することを怠った。例えば、我々査察官は、再包装エリアの横の机の上で、子供用アセトアミノフェンのロットに関する部分的に完成して引き裂かれた製造記録と、印刷されて束ねられずに積まれた用紙の山を見つけた。製造記録は、貴社のXXサイトにアクセスできる従業員がアクセスして印刷できるので適切に管理されていない。固形の経口薬の包装装置の日々の洗浄ログ上に、訂正のための修正液の使用も確認された。貴社の文書化手順は、貴社の全てのデータの完全性、真正性、信頼性や、貴社の医薬品の品質についての懸念を引き起こす。文書管理は適切な品質システムを維持するために不可欠である。
貴社は、従業員に対して、適性文書化手順の教育は実施されたとのべたが、貴社の施設でのデータ・インテグリティの問題の範囲を判断するための包括的なレビュを実施していないので、貴社の回答は不十分である。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 貴社のQUが効果的に機能するために権限とリソースを与えられていることを保証するための包括的なアセスメントと改善計画
    アセスメントには、これに限定されないが、以下のことを含むべきである:
    • 貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
    • 適切な手順の遵守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
    • QUのロットの処遇の決定前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュの実施
    • 調査の監督と承認と、全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するためのQUのその他全ての職務の遂行
  • 文書化手順が不十分な箇所を特定するために、貴社の製造及び試験の作業を通じて使用される文書システムの完全なアセスメント
    貴社が、貴社の作業を通じて、帰属可能で判読可能、完全で原本性があり正確で同時性のある記録を保持していることを保証するために、貴社の文書化手順を包括的に改善する詳細な是正処置・予防処置(CAPA)の計画を含めよ。
  • コンピュータシステムのセキュリティと完全性に関する包括的で独立したアセスメントとCAPAの計画
    貴社のコンピュータシステムの設計と管理の脆弱性と、適切な改善を明らかにするレポートを含めよ。

●CGMPコンサルタントの推奨

我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、貴社の作業を評価し貴社がCGMPの要件を満たすための助けをする21 CFR 211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うべきである。貴社がFDAと共に貴社のコンプライアンス状態の解決を達成しようとする前に、適格なコンサルタントが貴社のCGMP遵守に関し貴社の全ての作業に関する6つのシステム(※)の包括的な監査を実施し、CAPAの完了と効果も評価すべきである。
※6つのシステム:品質システム、施設及び装置のシステム、原材料システム、製造システム、包装& ラベル貼付システム、試験管理システム
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、全ての違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題に迅速かつ適切に対応しない場合、通知なしで、差し押さえや差し止め命令を含む規制または法的措置につながる可能性がある。未解決の違反は、他の連邦政府当局との契約を阻むかもしれない。
違反への対応の不履行は、FDAの輸出証明書の発行の差し控えにつながる可能性がある。全ての違反が完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。また、我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/safecor-health-llc-657886-09052023

まとめ

いかがでしたでしょうか。

特に目新しい指摘はなかったですが、下記の指摘がありました。

  • 供給者の管理が不足している
  • 品質部門が効果的に機能していない
  • 汚染リスクのある原材料や、それを作って出来上がった製品の試験が不足している
  • データ・インテグリティに問題がある

かなりレベルの低い指摘ではあると思いますが、是非参考にしていただければと思います。

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【発行責任者】

株式会社プロス 『ASTROM通信』担当 橋本奈央子 hashimoto@e-pros.co.jp

※本記事は株式会社プロスの許可を得て転載しております。

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