【最近のウォーニングレター】ASTROM通信 280号

今年も残すところあと半月となりましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

今回はアメリカ食品医薬品局(FDA)がアメリカ国外の製薬会社に出したウォーニングレター3件を取り上げ、FDAがどのような点を問題視し指摘したかを確認していきたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。

最近のウォーニングレターの概要  

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。

■Warning Letter 320-24-04■

FD&C Act 704(a)(4)に従ってトルコの製造所に行った記録及びその他の情報の要求に対し2022年6月14日、2022年7月12日、2023年7月28日に提出された記録をレビュし、医薬品製造に関するCGMP違反について発した2023年11月6日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1

貴社は医薬品の各成分の同一性を検証するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。
また貴社は、適切な間隔で、貴社の成分の供給者の分析試験の信頼性をバリデートし確証することも怠った。(21 CFR 211.84(d)(1), 211.84(d)(2))
<指摘1詳細>
貴社が提出した記録と情報によると、貴社は貴社の医薬品の製造に使用される入荷した成分の同一性の試験を実施していることを示さなかった。さらに貴社は、アメリカ国内での販売用の手指の消毒剤を製造するために使用されるエタノールの入荷ロットのメタノールに関する試験をしていない。
貴社は回答の中で、製造で使用する前に全ての原材料の同一性試験を実施すると述べた。しかし、貴社は供給者の試験レポートのみを提供した。
成分の試験は品質の基本である。適切な試験をせずに、貴社は、貴社の原材料が医薬品の製造に使用する前に適切な規格を満たすという科学的なエビデンスを持っていない。

〇エタノールを含む医薬品
貴社はエタノールを含む医薬品を製造している。メタノールで汚染されたエタノールの使用は、世界中の人々に様々な致命的な中毒事件をもたらしてきた。
FDAのガイダンス文書 Policy for Testing of Alcohol (Ethanol) and Isopropyl Alcohol for Methanolを見よ。
この文書への回答の中で、我々の704(a)(4)の要求の前後でアメリカに輸入された全ての医薬品に関して以下の情報を提供せよ:

  • 製造で使用するために入荷した成分の各ロットの試験とリリースに使用する化学及び微生物学的な品質管理の規格
  • 貴社が、各成分のロットが同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な規格に従うことをいかに試験するつもりかの記述
    もし貴社が濃度、品質、純度に関し、成分の各ロットを試験する代わりに、貴社の供給者の分析証明書(COA)の結果を受け入れるつもりなら、貴社が初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じていかに供給者の結果の信頼性を確実に確認するつもりかを明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロットについて少なくとも1つの特定の同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。
  • 成分の各製造業者のCOAの信頼性を評価するために、全ての成分の試験から得られた結果のサマリ
    このCOAのバリデーションプログラムについて述べた貴社の標準操作手順(SOP)を含めよ。
  • 貴社が製造した医薬品を試験する契約試験機関の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムのサマリ

●指摘2

貴社は医薬品の各ロットについて、リリース前に、各有効成分の同一性と濃度を含む製品の最終規格への一致について試験の判断を怠った。また、医薬品の各ロットについて、必要に応じて、好ましくない微生物を含まないことを試験することを怠った。(21 CFR 211.165(a), 211.165 (b))
<指摘2詳細>
貴社が提出した記録と情報によると、貴社がアメリカへの出荷のためのリリース前に、貴社のOTC最終製品を適切に試験していることを示さなかった。具体的には、貴社が提出したCOAは、同一性試験の結果を含んでいなかった。また貴社は、貴社の医薬品内のアルコール度数が高いため、最終医薬品の微生物試験を実施していないとも述べた。
同一性、濃度、不純物を含む完全なリリース試験は、医薬品のリリースと出荷の前に実施されなければならない。適切な試験がなければ、貴社の医薬品がリリース前に適切な規格に従っていることを保証する科学的なエビデンスがない。FDAはアルコール度数が高い手指の消毒剤の微生物汚染を見てきていることに注意せよ。
この文書への回答の中で、我々の704(a)(4)の要求の前後でアメリカに輸入された全ての医薬品に関して以下の情報を提供せよ:

  • ロットの処遇を判断する前に、貴社の医薬品の各ロットを分析するために使用されている試験方法を含む化学及び微生物の規格のリスト
    • この文書の日付時点で使用期限内にあるアメリカに販売された医薬品の全てのロットの品質を判断するために保管サンプルの全ての化学及び微生物試験を実施するためのアクションプランとタイムライン
    • 各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
      それらの試験で品質不良の医薬品が判明した場合、顧客への通知や製品の回収等の迅速な是正処置をとれ。

●指摘3

貴社は医薬品の安定性を評価するために設計し文書化した試験プログラムを制定してそれに従うことを怠り、適切は保管条件と使用期限を決定するために安定性試験の結果を使用することを怠った。(21 CFR 211.166(a))
<指摘3詳細>
貴社が提出した記録と情報によると、貴社には適切な安定性試験プログラムと、貴社の医薬品の化学的特性がラベルに表示された2年の使用期間中許容できる状態であることを示すための裏付けのデータが欠けている。具体的には、貴社は未開封の医薬品の使用期限は、室温で2年、開封済の医薬品は6ヶ月以内に使用される必要があると述べた。しかし貴社は加速条件下での2週間の試験結果と、長期条件下での18ヶ月の試験結果しか提供しなかった。さらに、これらのロットは同一性について評価されていなかった。
適切な安定性の検証がなければ、貴社は貴社の医薬品がラベルに表示された使用期間を通じて、制定された規格を満たし、品質特性を保持しているかどうかを裏付ける科学的なエビデンスを持っていない。
この文書への回答の中で、我々の704(a)(4)の要求の前後でアメリカに輸入された全ての医薬品に関して以下の情報を提供せよ:

  • 貴社の安定性プログラムの妥当性を保証するための包括的で独立したアセスメントと、是正処置・予防処置(CAPA)の計画
    改善プログラムは、これに限定されないが以下のことを含むべきである:
    • 安定性を示す方法
    • 出荷許可前の、販売される密閉容器内の各医薬品の安定性の確認
    • うたわれている使用期限が妥当かどうかを判断するための、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追加されるような継続的プログラム 
    • 各工程(タイムポイント)で試験される特定の属性の詳細な定義
  • 貴社の改善された安定性プログラムのこれら及びその他の要素を述べた全ての手順

●CGMPコンサルタントの推奨

もし貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開するつもりなら、我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、貴社がCGMPの要件を満たすための助けをする21 CFR 211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うべきである。貴社がFDAと共に貴社のコンプライアンス状態の解決を達成しようとする前に、適格なコンサルタントが貴社のCGMP遵守に関し貴社の全ての作業に関する包括的な監査を実施し、是正処置・予防処置の完了と効果も評価すべきである。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、全ての違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
FDAは、2023年10月27日に貴社に対して輸入警告措置66-40をとった。
全ての違反を速やかに是正せよ。全ての違反が完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。また、我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/saruhan-kimya-ve-temizlik-urunleri-sanayi-ticaret-anonim-sirketi-corlu-subesi-669487-11062023

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■Warning Letter 320-24-06■

FD&C Act 704(a)(4)に従って中国の製造所に行った記録及びその他の情報の要求に対し2022年6月15日、2022年7月5日、2022年7月10日に提出された記録をレビュし、医薬品製造に関するCGMP違反について発した2023年11月15日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1

貴社は、医薬品の各成分の同一性を検証するために少なくとも1つの試験を実施することを怠った。
(21 CFR 211.84(d)(1))
<指摘1詳細>
貴社が提出した記録と情報によると、貴社は貴社の医薬品を製造するために使用される入荷した原材料について、同一性を判断するために試験を実施していることを示さなかった。具体的には、我々が原材料の同一性試験を実施しているかどうかをたずねた際、貴社は供給者から得た分析証明書(COA)の確認により、原材料を特定していると述べた。さらに、貴社は入荷したエタノールの全てのロットについてメタノールの試験を実施しておらず、また、アメリカ国内での販売用の手指の消毒剤等の医薬品を製造するために使用されるエタノール中の許容可能なメタノールの含有量に関する貴社の規格(または上限)を提出しなかった。
成分の試験は品質の基本である。メタノールに汚染されたエタノールの使用は、世界中の人々に様々な致命的な中毒事件をもたらしてきた。
FDAのガイダンス文書 Policy for Testing of Alcohol (Ethanol) and Isopropyl Alcohol for Methanolを見よ。
この文書への回答の中で、我々の704(a)(4)の要求の前後でアメリカに輸入された全ての医薬品に関して以下の情報を提供せよ:

  • 製造で使用するために入荷した成分の各ロットの試験とリリースに使用する化学及び微生物学的な品質管理の規格
  • 貴社が、各成分のロットが同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な規格に従うことをいかに試験するつもりかの記述
    もし貴社が濃度、品質、純度に関し、成分の各ロットを試験する代わりに、貴社の供給者のCOAの結果を受け入れるつもりなら、貴社が初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通じていかに供給者の結果の信頼性を確実に確認するつもりかを明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロットについて少なくとも1つの特定の同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。
  • 成分の各製造業者のCOAの信頼性を評価するための、全ての成分の試験から得られた結果のサマリ
    このCOAのバリデーションプログラムについて述べた貴社の標準操作手順(SOP)を含めよ。
  • 貴社が製造した医薬品を試験する契約試験機関の適格性評価と監督に関する貴社のプログラムのサマリ

●指摘2

貴社は医薬品の各ロットについて、リリース前に、各有効成分の同一性と濃度を含む製品の最終規格への一致について試験の判断を怠った。(21 CFR 211.165(a))
<指摘2詳細>
貴社が提出した記録と情報によると、貴社がアメリカへの出荷のためのリリース前に、貴社のOTC最終製品を適切に試験していることを示さなかった。具体的には、アメリカ向けの製品のリリース規格と、製品を評価するために使用される試験方法の提供依頼に対し、貴社は、微生物の規格に関する“XX”の試験結果のみを含む最終製品の規格を提出した。
同一性、濃度、不純物を含む完全なリリース試験は、医薬品のリリースと出荷の前に実施されなければならない。適切な試験がなければ、貴社の医薬品がリリース前に適切な規格に従っていることを保証する科学的なエビデンスがない。
この文書への回答の中で、我々の704(a)(4)の要求の前後でアメリカに輸入された全ての医薬品に関して以下の情報を提供せよ:

  • ロットの処遇を判断する前に、貴社の医薬品の各ロットを分析するために使用されている試験方法を含む化学及び微生物の規格のリスト
    • この文書の日付時点で使用期限内にあるアメリカに販売された医薬品の全てのロットの品質を判断するために保管サンプルの全ての化学及び微生物試験を実施するためのアクションプランとタイムライン
    • 各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
      それらの試験で品質不良の医薬品が判明した場合、顧客への通知や製品の回収等の迅速な是正処置をとれ。

●指摘3

貴社は医薬品の安定性を評価するために設計し文書化した試験プログラムを制定してそれに従うことを怠り、適切は保管条件と使用期限を決定するために安定性試験の結果を使用することを怠った。
(21 CFR 211.166(a))
<指摘3詳細>
貴社は、貴社の医薬品の化学的特性がラベルに表示された使用期間中許容できる状態であることを示すための適切な安定性データを提供しなかった。具体的には、貴社は、貴社の手指の消毒剤に付与され適用される使用期限はXXであると報告した。しかし、貴社はXXの使用期限を裏付けるためにわずか13週間の安定性データを提出した。
さらに貴社の安定性データは、同一性と濃度に関する試験を含んでいない。従って、データは、医薬品の有効成分が使用期間を通して安定していると示していない。また、提供された情報は、微生物学的な安定性データを含んでいない。
適切な安定性の検証がなければ、貴社は貴社の医薬品がラベルに表示された使用期間を通じて、制定された規格を満たし、品質特性を保持しているかどうかを裏付ける科学的なエビデンスを持っていない。
この文書への回答の中で、我々の704(a)(4)の要求の前後でアメリカに輸入された全ての医薬品に関して以下の情報を提供せよ:

  • 貴社の安定性プログラムの妥当性を保証するための包括的で独立したアセスメントと、是正処置・予防処置(CAPA)の計画
    改善プログラムは、これに限定されないが以下のことを含むべきである:
    • 安定性を示す方法
    • 出荷許可前の、販売される密閉容器内の各医薬品の安定性の確認
    • うたわれている使用期限が妥当かどうかを判断するための、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追加されるような継続的プログラム 
    • 各工程(タイムポイント)で試験される特定の属性の詳細な定義
  • 貴社の改善された安定性プログラムのこれら及びその他の要素を述べた全ての手順

●CGMPコンサルタントの推奨

もし貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開するつもりなら、我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、貴社がCGMPの要件を満たすための助けをする21 CFR 211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うべきである。貴社がFDAと共に貴社のコンプライアンス状態の解決を達成しようとする前に、適格なコンサルタントが貴社のCGMP遵守に関し貴社の全ての作業に関する包括的な監査を実施し、是正処置・予防処置の完了と効果も評価すべきである。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、全ての違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
FDAは、2023年11月8日に貴社に対して輸入警告措置66-40をとった。
全ての違反を速やかに是正せよ。全ての違反が完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。また、我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/xiamen-wally-bath-manufacture-co-ltd-669407-11152023

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■Warning Letter 320-24-08■

FD&C Act 704(a)(4)に従ってトルコの製造所に行った記録及びその他の情報の要求に対し2022年6月16日、2023年7月6日に提出された記録をレビュし、医薬品製造に関するCGMP違反について発した2023年11月16日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1

貴社は医薬品の各ロットについて、リリース前に、各有効成分の同一性と濃度を含む製品の最終規格への一致について試験の判断を怠った。(21 CFR 211.165(a))
<指摘1詳細>
貴社はOTC医薬品XXを製造している。我々の704(a)(4)に基づく記録及びその他の情報に関する要求に対する貴社の回答は、適切な最終製品試験をせずに、アメリカにこの医薬品を出荷したことを示している。具体的には、アメリカ向け製品のリリース規格と、製品を評価するために使用される試験方法の提供依頼に対し、貴社は、貴社のOTC医薬品XXに関する分析証明書(COA)を提出した。
そのCOAは、211.165(a)によってリリース前に要求されている有効成分の同一性と濃度に関する試験を含んでいなかった。
適切な試験がなければ、貴社の医薬品がリリース前に適切な規格に従っていることを保証する科学的なエビデンスがない。
この文書への回答の中で、我々の704(a)(4)の要求の前後でアメリカに輸入された全ての医薬品に関して以下の情報を提供せよ:

  • ロットの処遇を判断する前に、貴社の医薬品の各ロットを分析するために使用されている手順を含む、化学及び微生物の試験方法と規格のリスト
    • この文書の日付時点で使用期限内にあるアメリカに販売された医薬品の全てのロットの品質を判断するために保管サンプルの全ての化学及び微生物試験を実施するためのアクションプランとタイムライン
    • 各ロットの保管サンプルの試験から得られた全ての結果のサマリ
      それらの試験で品質不良の医薬品が判明した場合、顧客への通知や製品の回収等の迅速な是正処置をとれ。
  • 貴社の試験業務、手順、方法、装置、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
    このレビュに基づき、貴社の試験システムを改善し、その効果を評価するための詳細な計画を提出せよ。
  • アメリカに出荷された使用期限内のXXの全てのロットのXX試験の結果

●指摘2

貴社は医薬品の安定性を評価するために設計し文書化した試験プログラムを制定してそれに従うことを怠り、適切は保管条件と使用期限を決定するために安定性試験の結果を使用することを怠った。
(21 CFR 211.166(a))
<指摘2詳細>
安定性に関して貴社が提供した記録と情報によると、貴社は、貴社の医薬品の化学的特性がラベルに表示された24ヶ月の使用期間中許容できる状態であることを示していなかった。
貴社が提出した安定性試験の結果は、pH、密度、外観、におい、色、濃度に限定されていた。貴社は、不純物と微生物学的特性(総菌数と好ましくない微生物が含まれていないこと)に関するデータを提供することを怠った。
適切な安定性の検証がなければ、貴社は貴社の医薬品がラベルに表示された使用期間を通じて、制定された規格を満たし、品質特性を保持しているかどうかを裏付ける科学的なエビデンスを持っていない。
この文書への回答の中で、我々の704(a)(4)の要求の前後でアメリカに輸入された全ての医薬品に関して以下の情報を提供せよ:

  • 貴社の安定性プログラムの妥当性を保証するための包括的で独立したアセスメントと、是正処置・予防処置(CAPA)の計画
    改善プログラムは、これに限定されないが以下のことを含むべきである:
    • 安定性を示す方法
    • 出荷許可前の、販売される密閉容器内の各医薬品の安定性の確認
    • うたわれている使用期限が妥当かどうかを判断するための、各製品の代表的なロットが毎年プログラムに追加されるような継続的プログラム 
    • 各工程(タイムポイント)で試験される特定の属性の詳細な定義
  • 貴社の改善された安定性プログラムのこれら及びその他の要素を述べた全ての手順

●原材料の同一性試験

貴社は同一性試験を実施していると言っているが、我々の704(a)(4)に基づく記録及びその他の情報に関する最初の要求に対する貴社の回答では、貴社はそれらの試験エビデンスを提供しなかったと認識している。これらの試験結果がなければ、貴社は、貴社のOTC医薬品を製造するために使用される有効成分の入荷ロットの同一性を判断するために試験をしているということを示していない。
21 CFR 211.84(d)(1)と(d)(2)を参照せよ。

●CGMPコンサルタントの推奨

もし貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開するつもりなら、我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、貴社がCGMPの要件を満たすための助けをする21 CFR 211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うべきである。貴社がFDAと共に貴社のコンプライアンス状態の解決を達成しようとする前に、適格なコンサルタントが貴社のCGMP遵守に関し貴社の全ての作業に関する包括的な監査を実施し、是正処置・予防処置の完了と効果も評価すべきである。
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、全ての違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
FDAは、2023年10月27日に貴社に対して輸入警告措置66-40をとった。
全ての違反を速やかに是正せよ。全ての違反が完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。また、我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/cerci-kozmetik-ve-otel-ekipmanlari-pazarlama-ic-ve-dis-ticaret-limited-sirketi-669488-11162023

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は3件とも、アメリカ国外の製造業者に対する、書面での査察でみつかった不備に対する指摘でした。
現地査察でなくてもこれだけ不備がみつかることに驚かされます。
ただ、指摘内容は、

  • 成分の受入試験
  • 製品の出荷前のリリース試験
  • 安定性試験

に集中しているので、これらは、書面でも不備がみつかりやすい、もしくは、FDAが特に注意してみている部分なのかもしれません。
是非、指摘内容を参考にしてみていただければと思います。

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【発行責任者】

株式会社プロス 『ASTROM通信』担当 橋本奈央子 hashimoto@e-pros.co.jp

※本記事は株式会社プロスの許可を得て転載しております。

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