【最近のウォーニングレター】ASTROM通信 237号

少しずつ春の訪れが感じられるようになってきましたが、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。

今回は、FDAがアメリカ国内の製薬会社向けに出したウォーニングレター2件を取り上げ、FDAがどのような点を指摘したかを確認していきたいと思います。
是非、お読みいただければ幸いです。

最近のウォーニングレターの概要  

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。

■WL#614124■

2021年2月23日~3月1日にネバダ州の契約試験研究所を査察してみつかつた医薬品製造の重大なCGMP違反について発した2021年11月8日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●異物混入違反

手の除菌用ローションのエタノール含有量に関する指摘は省略

●CGMP違反

査察中、我々査察官は、これに限定されないが以下の明白な違反を確認した。

●指摘1

貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従い、同一性、濃度、品質、純度に関して制定された規格を満たすことを保証する責任を果たすことを怠った。

〇適切な品質部門制定の不履行

貴社には、品質部門の責任を記述した文書化された手順がなかった。そのうえ、貴社には、品質の監督や、最終製品のロットの合格・不合格を判定するための製造及び試験の記録のレビュに責任を持つ職員も不足していた。例えば、貴社の製造所で採取されたラベルが未貼付/貼付済の手の除菌用ローションも、販売のためにリリースされた手の除菌用ローションも、メタノール、ラベルに記載されているより薄いエタノール、高いレベルのアセトアルデヒド/アセタール不純物で汚染されているのがみつかった。適切な品質部門の不導入が、混ぜ物をした原材料の州際通商への導入を許した。

〇製造手順を承認する品質部門の不備

貴社は、貴社の製造所で行われた製造作業をサポートする手順、バッチレコード、またはその他の記録を提出することが出来なかった。そのうえ貴社は、固有のロット番号を付与し追跡したり、ラベルを管理したりするためのシステムがなかった。例えば、手の除菌用ローションのための未使用のラベルが、操業中でないラベル貼付機上でみつかった。
さらに、販売された医薬品にロット番号と使用期限の表示されたラベルが貼付されていなかった。品質部門には、医薬品の同一性、濃度、品質、純度に影響を与える製造手順の承認や、間違いが発生していなかったことを保証するための製造記録のレビュに責任がある。

〇リリースされた原材料の品質部門による適切な管理の不履行

貴社は、消費者向けサイズの最終の容器に充填され、アメリカ市場に出荷するためにラベルが貼付された手の除菌用ローションのバルクを受領した。貴社はアメリカ市場に入れた製品の販売ロットまたは数量に関するいかなる記録も提供できなかった。
自主回収を議論するための2021年5月6日の貴社との電話会議と、その後のFDAとのやりとりにおいて、貴社はアメリカ市場にある手の除菌用ローションXXの量をすぐに確認できなかった。最終的に、貴社は回収の規模を拡大する必要があると判断した。
査察中及びその後の電話会議で、貴社は作業を中止していたと述べた。しかし貴社の医薬品は現在市場に販売されているものに加え、まだ工場に保管されている。貴社はまだ(販売されたかどうかに関わらず)貴社の医薬品の適切な処分に関する責任を負っている。

〇入荷した成分の品質部門による適切な管理の不履行

貴社は、入荷したバルク原材料の同一性試験を含む品質や、入荷した成分の容器の現物検査に関する十分な文書を提供できなかった。さらに貴社は、貴社が供給者の品質や、供給者から受領した分析結果の信頼性を評価したことを示すことができなかった。品質部門には、成分のテストをし、合否の判断をし、医薬品の同一性、濃度、品質、純度に影響を与えうる供給者の適格性評価等の全ての手順を承認するためのリソースを保証する責任がある。
要約すると、CGMPの規定は、入荷した原材料、工程内原料、製品の合格/不合格を判断すること、製造作業中に管理が実施され十分に達成されていることを保証すること、製造記録をレビュし、説明のつかない不一致が調査することを含む責任を品質部門に与えている。
貴社はこれらの責任を行うことのできる品質部門を持っていることを示していない。
CGMPの21 CFR part210,211の要件を満たすために品質システムとリスクマネジメントアプローチを実装する助けとして
FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulations
を見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 成分、容器、蓋の全ての供給者が適格で、原材料には適切な使用期限またはリテストの日付が付与されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的で独立したレビュ
    レビュは、入荷した原材料の管理が、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために適切かどうかの判断も含めるべきである。
  • 効果的に機能するための権限とリソースが貴社の品質部門に与えられていることを保証するための包括的なアセスメントと改善計画
    アセスメントには、これに限定されないが、以下のことも含めるべきである:
    • 貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
    • 適切な手順の順守を評価するための、品質部門による作業全体の監視の規定
    • 品質部門が出荷判定をする前の各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ
    • 全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための品質部門の調査の監督・承認及び品質部門のその他の職務からの解放
  • 文書化手順が不十分かどうかを判断するための、貴社の製造及び試験作業を通して使用されている文書化システムの完全なアセスメント
    貴社が作業を通して、帰属可能で、判読可能で、完全で、原本性があり、正確で、同時性のある記録を保持していることを保証するために、貴社の文書化手順を包括的に改善する詳細な是正処置・予防処置の計画を含めよ。

●未承認の新薬と不正商標表示違反

省略

●医薬品製造の中止

我々は、貴社がこの製造所で医薬品の製造を中止すると約束したと認識している。この文書への回答の中で、貴社がこの製造所または他の製造所で、今後、医薬品の製造を再開するつもりかどうか明確にせよ。
もし、貴社が医薬品の製造を再開するつもりなら、適切な是正処置が実施されていることを保証し、作業を再開する前に会議を予定するために連絡せよ。
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、もし貴社がアメリカ市場向け医薬品の製造を再開するつもりなら、CGMPの要件を満たすために貴社を手伝うために、21 CFR 211.34に記載されているコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストでもない。貴社には、違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行、貴社の医薬品製造業者としての新しい申請やリストの補完の承認の差し控えにもつながるかもしれない。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/global-sanitizers-llc-614124-11082021

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■CMS#614450■

2021年3月1日~3月26日のオハイオ州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について発した2021年12月15日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●CGMP違反

●指摘1

貴社は、貴社が製造した医薬品が持つとされる、または、持つと表示されている同一性、濃度、品質、純度を持っていることを保証するために文書化された適切な手順を制定し、工程管理を設計することを怠った。また、貴社の品質管理部門は、変更を含むそれらの手順をレビュし承認しなかった。
<指摘1詳細>
貴社の、医薬品製造作業のための水を提供するために使用されているシステムは、その意図した使用目的について、適切にバリデートされていなかった。貴社は製薬用水システムの据付時適格性評価は完了したが、システムの性能適格性評価の実施を怠った。それにもかかわらず、貴社はこのシステムからの水を、貴社の水性の医薬品の製造に使用した。
さらに、貴社のシステムにより製造された水の品質を評価するための長期のモニタリングデータが不足していた。貴社は、2020年7月まで水の品質をテストするための所定のプログラムを開始せず、貴社の水性の医薬品の製造で使用されている水の適格性の保証は、最終製品のテストで提供されると思い込んでいた。この手順は、貴社の製薬用水システムにより製造された水の品質を直接モニタすることを怠っているので不適切である。貴社の製薬用水システムが管理状態にあるかどうかをモニタするために製品試験を信頼することは受け入れられない。
モニタリングプログラムの開始後、貴社の製造用水システム内で、微生物のアクションリミットからの重大な逸脱が確認された。
2016年に実施されたFDAの前の査察中、我々は、貴社のもともとの製薬用水システムがその意図した使用目的に関し、適切にバリデートされていないことを発見した。これは査察の終わりに貴社の経営陣と一緒に話し合われた。
貴社の製薬用水システムの継続的な管理状態を保証することは、医薬品の製造を支えるために不可欠である。医薬品の製造のために使用する水は、その使用目的に適合し、いかなる性能の低下も迅速に検知するために定期的に試験されなければならない。
貴社は回答の中で、貴社は貴社の製薬用水システムに大幅な変更を行い、XXによるシステムのXXを完了する予定であると述べた。しかし貴社の回答は、2016年に実施された前回のFDAの査察中に安定したバリデートされたシステムが検討されたのに、貴社の製薬用水システムが適切に設計されバリデートされていなかった理由の説明をすることを怠った。さらに貴社の回答は今後のより慎重でタイムリーな作業の監視を保証するために行う予防処置を含めなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 全ての医薬品の製造ライフサイクルを通じた、よりよい継続的な管理監督を保証する改善計画
    工程のばらつきの原因を特定し、製造作業が適切なパラメータと品質基準を満たすことを保証する、よりデータ駆動型で科学的に理にかなったプログラムを提供せよ。
    プログラムは、これに限定されないが、装置の使用目的への適合性の評価、投入原料の品質の保証、各製造工程の手順とその管理の能力と信頼性の判断、工程の性能と製品品質の慎重で継続的なモニタリングを含む。
  • 貴社の製薬用水システムの設計、管理、維持の包括的で独立したアセスメント
  • 適切な製薬用水システムを据え付け、運転するための徹底的な改善計画
    改善されたシステムの設計がアメリカ薬局方モノグラフの精製水の規格と適切な微生物限度を順守した水を一貫して精製することを保証するための安定して継続的な管理、維持とモニタリングプログラムを含めよ。
  • 後者に関し、貴社の水の総菌数の上限が貴社で製造される製品への意図した使用を考慮して適切であることを保証せよ。
  • 同様の違反の再発を防ぐための、システマティックで包括的な是正処置・予防処置(CAPA)の取り組みについて説明せよ。

●指摘2

貴社は、そのロットが既に出荷されたかどうかに関わらず、規格を満たすために、ロットやその成分の全ての説明のつかない不一致や不具合を徹底的に調査することを怠った。
<指摘2詳細>
貴社の不合格の結果の調査は不十分だった。貴社の調査は、不合格の結果の根本原因を特定せず、不合格の結果の出荷済ロットへの影響の評価に欠け、適切なCAPAを含んでいなかった。
例えば:

  • 2020年9月15日、貴社は、貴社で製造された手の除菌用ローションの複数のロットにおける微生物の計数の不合格に対して調査(CAR09152020QCU)を開始した。これらの不具合の調査は、以下の点で不適切だった:
    • これらのロットのいくつかは微生物の特定のために貴社の契約試験機関に送られ、セパシア菌の存在が明らかになった。貴社は、製品がセパシア菌に汚染されていて、酵母菌とかびが許容できないレベルであることを知りながら、関連する調査では、好ましくない微生物への個別の対応をせず、不具合の根本原因の適切な判断をしなかった。
    • 貴社の医薬品への好ましくない微生物の汚染の再発を防ぐための不十分なアクションが確認された。
      • 2020年9月21日以降、製薬用水システムのモニタリング中、医薬品の製造で使用される分注用の口で微生物限度を超える不具合の再発が発見されたが、貴社はこれらの不具合の結果を規定通りに調査していなかった。
      • 是正処置を規定する貴社の手順(SOP.002.011.001是正処置手順)は、根本原因の判断や効果の確認の規定に欠けていた。また、予防処置に関する適切な手順が 欠けていた。

貴社は回答の中で、貴社の製薬用水システムの試験の上限に関する説明をし、関連する手順と記入用紙を改訂していると述べた。しかし貴社の回答は、製薬用水システムの不合格の結果に対してなぜ調査を開始しなかったに触れていなかった。また、予防手段を割り出すために過去の調査のミスをより理解するための回顧的な分析と、システマティックな改善を提案していない。さらに、貴社の回答は、調査が根本原因を特定し、全ての範囲と影響を評価し、不具合・悪化傾向・その他の逸脱や不一致に対して適切なCAPAを実施することを確実にするための、貴社の品質システムの実質的な改善に欠けている。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ。

  • 逸脱、不一致、苦情、規格外(OOS)の結果、不具合を調査するための貴社の総合的なシステムの包括的で独立したアセスメント
    このシステムを改善するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプランは、これに限定されないが、調査能力、範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの効果、品質保証部門の監督、文書化手順の大幅な改善も含むべきである。調査の全ての段階が適切に実施されていることを貴社がいかに保証するかについても述べよ。
  • 貴社のCAPAプログラムの独立したアセスメントと改善計画
    適切な調査能力を持った職員が根本原因の分析を効果的に実施していて、CAPAの効果を保証し、調査の傾向を定期的にレビュし、必要に応じてCAPAプログラムの改善を実施し、品質保証の判断の権限を保証し、それが経営陣により完全にサポートされているかを評価したレポートを提出せよ。
  • OOSの結果の調査システムに関する包括的なレビュと改善計画
    CAPAはこれに限定されないが以下のことへの取り組みを含むべきである:
    • 試験の調査の品質保証部門による監督
    • 品質管理の悪化傾向の特定
    • 試験のばらつきの原因の解決
    • 最終的に試験の原因が特定できないか場合はいつでも製造の原因の可能性の徹底的な調査の開始
    • 各調査の適切な範囲の決定とそのCAPA
    • これらやそれ以外の改善を含むOOSの調査の改訂された手順

●指摘3

貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従い、同一性、濃度、品質、純度に関して制定された規格を満たすことを保証する責任を果たすことを怠った。
<指摘3詳細>
査察中、我々査察官は、貴社の品質部門が医薬品の製造に関する適切な監視を行わず、医薬品の濃度、品質、純度を保証するための文書化された手順を制定し順守することを怠ったことを確認した。例えば:

  • 貴社には、変更管理を監督するための適切な手順と組織的なシステムが欠けていた。
    貴社は、貴社の医薬品製造所、システム、装置、工程に影響を与えるかもしれない、提案された変更を評価するための効果的な仕組みや文書化された手順を持っていなかった。
  • 貴社は、2010年3月22日に制定された、医薬品のXXのレビュを規定した手順を持っている。しかし、この手順の開始以来、貴社は製造した全ての医薬品のXXのレビュを実施したことがない。
  • 査察中、貴社の従業員のXXに関する教育記録がレビュされ、これらの記録は、全てのXXの従業員は完全な教育を受けていないことを示していた。
  • 貴社は、2020年9月21日に、契約試験機関を使って工程内の水と製品について生菌数の試験を開始した。貴社はXXを用いたTAMCとTYMCの試験に関し、適合性とバリデーションを指示した。
  • 貴社は、クロロキシレノールを含む医薬品に関し、抗菌有効性試験(AET)を実施しなかった。

研究で、セパシア菌群(Bcc)バクテリアが、塩化ベンザルコニウム医薬品を含んだ、環境ストレス要因に対処するための戦略をとっていることを明らかにした。これらの条件のもとで、細胞は生存可能で、最初に培養されることができなくても、その完全性と病原性を維持できる。Bccは最初の試験中に正常な状態に戻らなかったという事実にも拘らず、条件に順応し保存されている医薬品の中で急増するかもしれない。初期のリリース試験の結果は重要な品質管理の情報を提供していたが、それらの試験結果は、所定のロットの微生物の品質の完全な理解や安定性の予測をもたらさなかった可能性がある。一例として、手の除菌用ローションのロット538756に関するリリース試験で合格の結果を得たが、2023年1月の使用期限の後期の、貴社の契約試験機関とFDAの両方の試験でBccと総菌数で不合格を示した。
貴社の回答は、ある程度、貴社が違反に関連する手順を作成または改訂し、貴社のメンテナンスプログラムを向上させ、教育プログラムを向上させ、特定された試験の不備に対処していることを示している。しかし、貴社はこの不具合をもたらした品質管理部門内の根本的な不備に対応することを怠っているので貴社の回答は不適切である。さらに、貴社の不完全な品質部門がこの査察で確認されなかった製造作業に影響を与えたかどうかの評価がされていない。貴社は、品質部門の不備の範囲をレビュせず、貴社の製造作業の安定した監督と管理を保証するために貴社がシステム上の手順を踏んだというエビデンスの提供を怠った。
この文書内の重大な指摘事項は、貴社の品質部門がその権限と責任を果たしていなことを示している。貴社はその責任を果たし医薬品の品質を一貫して保証するために、品質部門に適切な権限と十分なリソースを提供しなければならない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 貴社の品質部門が効果的に機能するために、品質部門に権限とリソースを与えられていることを保証するための包括的なアセスメントと改善プラン
    これらのアセスメントは、これに限定されないが以下のことを含むべきである:
    • 貴社でとられた手順が安定していて適切かどうかの判断
    • 適切な手順の順守を評価するための、品質管理部門の貴社の作業全体の監督の規定
    • 品質部門のロットの出荷判定前に各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュ
    • 調査の監督と承認及び全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための品質部門のその他の職務からの解放
      • 貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることと、許容可能な製造のための衛生システムを保証することに特に重点を置いた適切な洗浄バリデーションプログラムの実施
        それには、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:
      • より高い毒性を持つ医薬品、より高い有効性を持つ医薬品、洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
      • 洗浄を難しくする特性を持った医薬品
      • 洗浄を最も難しくする拭き取り場所
      • 装置と洗浄手順に関連した微生物のリスクと、洗浄前の最大保持時間
      • 新しい製品や装置が適切に管理されていることを保証する変更管理の規定

それから、洗浄バリデーションと検証に関する手順、貴社の製造工程で使用される全ての製造装置の今までに実施された全ての検証のステータスレポートを提出せよ。それぞれの装置について、多目的か専用かを述べよ。

  • 貴社の変更管理システムの包括的で独立したアセスメント
    このアセスメントは、これに限定されないが、変更が正当化され、レビュされ、品質部門に承認されていることを保証する貴社の手順を含めよ。
    貴社の変更管理プログラムは変更の効果を判断するための規定も含めるべきである。
  • 開発から保存されている製品のロットの使用有効期間の終わりの間で、アメリカ薬局方<51>を利用した貴社の医薬品がAETを実施する約束(ICH Q1Aを見よ)試験は、製品の処方に含まれていない成分は追加せず、保存濃度(ラベルに表示された最低保存濃度またはそれ以下)の範囲で実施されるべきである。さらに、貴社の医薬品の製剤の中で生き残るためにゆっくり増殖し、製品の有効期間の後半で急増する微生物の能力を評価せよ。

●微生物の汚染

貴社の査察の途中で、FDAの査察官は手の除菌用ローション(ロット538756、使用期限2023年1月)の1ガロン内の3つの補助サンプルからなるFDAサンプル1148361を含む製品サンプルを収集した。FDAの試験の分析で、このロット内にセパシア菌群を確認した。さらに、3つの補助サンプル全ての微生物が好気性微生物総数(TAMC)と酵母のカビの総数(TYMC)試験からハイレベルの微生物がみつかった。これらの結果は、最終製品のXXのコロニー形成単位の規格を著しく超えていた。貴社は我々査察官と同様の結果を得た契約試験機関と協力してサンプルを収集した。これらのサンプルの結果は、FDCAの501(a)(2)(A)章のもとで、貴社の製造所で製造された製品は、汚染の原因になる不衛生な状態で製造されたことを示している。
我々は、貴社が2021年3月29日に製品の8バッチの回収を開始したことを知っている。
しかし、FDAは、貴社が提案した回収の範囲に同意しなかった。2021年5月12日、FDAは、貴社と電話会議を開催し、使用期限内にある全ての水性の医薬品の回収を勧めた。貴社は2021年5月24日に回収の範囲を広げた。
さらに貴社は、いくつかの製品がセパシア菌群に汚染されていることが貴社の契約試験施設で発見された後の2020年7月1日に、製品の10ロットを回収していた。2020年8月3日、FDAは貴社の手の除菌用ローションの微生物汚染を公表した。
非無菌の水性製品内のセパシア菌群の汚染は、消費者を重大な危険にさらす可能性がある。

●未承認の新薬と不正商標表示違反

省略

●役に立たない品質システム

これらの違反は、医薬品の製造の適切な監督と管理を実施するための経営陣の管理の不履行を示している。貴社は、システム、工程、最終的には製品がFDAの要件に一致していることを保証するために、貴社の製造作業をすぐに包括的に評価すべきである。貴社は回答の中で、これに限定されないが、新たに発生した製造や品質の問題に積極的に対応し、継続的な管理状態を保証するための、タイムリーなリソースの提供を含む、品質保証と信頼できる作業を経営陣がいかにサポートするかについて述べよ。

●医薬品製造の停止

我々は、貴社がこの製造所で医薬品の製造を一時的に中止すると約束したと認識している。
もし、貴社が医薬品の製造作業を再開するつもりなら、貴社の作業を再開する前に、貴社の改善状態を論じるための会議を予定するために連絡せよ。貴社の会議の要求には、全ての改善の文書化された確認書と、貴社のシステムのSGMPの是正を裏付ける詳細な文書を含むべきである。

●CGMP

我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、CGMPの要件を満たすために貴社を手伝うために、21 CFR 211.34に記載されているコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。
貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製造所に存在する違反の包括的なリストでもない。
貴社には、違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、FDAの輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。
全ての違反に完全に対応がされ、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の医薬品製造業者としての新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/spartan-chemical-company-inc-614450-12152021

まとめ

いかがでしたでしょうか。

どちらのウォーニングレターにも、品質部門がその責任を十分に果たせていないことに関する指摘を含んでいました。
指摘にもある通り、品質部門が効果的に機能するためには、品質部門のリソースの確保はもちろんですが、品質部門が独立して製造作業を監視・監督することを可能にする規定の整備も必要で、これは、会社の品質に対する姿勢が問われる部分ではないでしょうか。
FDAがアメリカ国内の製薬会社に対して行った指摘ではありますが、国を問わず、どの会社も意識しなければいけない内容だと思いました。

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【発行責任者】

株式会社プロス 『ASTROM通信』担当 橋本奈央子 hashimoto@e-pros.co.jp

※本記事は株式会社プロスの許可を得て転載しております。

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