【最近のウォーニングレター】ASTROM通信 276号

いつの間にか肌寒さを感じる季節になってしまいましたが、いかがお過ごしですか?

今回もアメリカ食品医薬品局(FDA)がアメリカ国内外の製薬会社に出したウォーニングレター5件を取り上げ、FDAがどのような点を問題視し指摘したかを確認していきたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。

最近のウォーニングレターの概要  

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。

■CMS 649677■

2022年11月17日~11月22日のアリゾナ州の製造所の査察でみつかった医薬品に関するCGMP違反について発した2023年9月1日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1

貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに準拠し、同一性、濃度、品質、純度に関して制定された規格を満たすことを保証する責任を果たすことを怠った。(21 CFR 211.22)
<指摘1詳細>
貴社は、手指の消毒剤XX(0.1%塩化ベンザルコニウム)を含むOTCの手指の消毒剤を製造している。
貴社はAmazonの配送センタに2022年9月2日に出荷されたXXを含む、貴社の医薬品の製造を適切に監督する品質部門(QU)を設置することを怠った。具体的には以下のことを保証するためのQUを設置することを怠った:

  • 製造された医薬品が、それが持つとうたわれている、または、表示されている、同一性、濃度、品質、純度を持っていることを保証するために設計された適切な製造と工程の管理(21 CFR 211.100(a))
  • ラベル表示された有効成分を100%以上提供する処方(21 CFR 211.101(a))
  • 貴社の装置の適切な洗浄及びメンテナンスの手順(21 CFR 211.67(b))
  • 医薬品の適切な製造指図記録書の準備(21 CFR 211.188)
  • 医薬品の各ロットのリリース前に、有効成分の同一性及び濃度の適切な試験が実施されレビュされていること(21 CFR 211.165(a))
  • 規格外(OOS)の結果、苦情、逸脱、その他の規格と不一致の結果の徹底的な調査が、適切に文書化され承認された手順に従って実行されていること(21 CFR 211.192)
  • ロット番号または管理番号によって製品の各ロットを識別するための適切な文書化された手順(21 CFR 211.130(c))

CGMPの規制21 CFR parts210, 211の要件を満たすために、品質システムとリスクマネジメントアプローチを実装する助けとして、FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。

●指摘2

貴社は、同一性と、純度、濃度、品質の適切に文書化された規格への一致について、各成分のサンプルを試験することを怠った。貴社は、成分の供給者の分析試験の信頼性を適切な間隔でバリデートし検証することを怠った。(21 CFR 211.84(d)(1), 211.84(d)(2))
<指摘2詳細>
貴社は、医薬品の製造に使用する前に入荷した成分の同一性を含む試験を適切に実施することを怠った。さらに貴社は、純度、濃度、品質等の規格に関し、適格性評価がされていない供給者から得た分析証明書(COA)を信頼した。同一性、純度、濃度、品質について、成分を適切に分析しなかったため、貴社は、入荷した成分が適切な規格を満たすと保証することを怠った。
さらに貴社は医薬品の製造のための成分として使用するXX水が水性ベースの剤型に適していて、USPの精製水のモノグラフと適切な微生物の制限を最低限満たしていることを示していなかった。
貴社は、XX水を試験することを怠り、水の規格、試験、取扱いに関する適切な手順が不足していた。

●指摘3

貴社は、医薬品が適切な安定性試験で裏付けられた使用期限を持つと保証することを怠った。
(21 CFR 211.137(a))
<指摘3詳細>
貴社は適切な安定性試験プログラムを実装することを怠った。また貴社は、ラベル表示された使用期限またはそれがないことを支持する科学的根拠も欠けていた。例えば貴社は、ラベル表示された有効期限は、貴社の手指の消毒剤を製造するために使用されたバルク濃縮有効成分(すなわち、塩化ベンザルコニウム)の使用期限に基づいていると述べた。

●未承認の新薬及び不当表示の違反

省略

●不当表示の医薬品の違反

省略

●システム的な改善

この文書への回答の中で、今後この施設または他の施設で医薬品の製造を継続するつもりか確認せよ。もしCGMP活動を継続するつもりなら、貴社が継続的にCGMPを遵守できることを保証するために全ての不備とシステム的な欠陥を解決する責任がある。
我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、貴社がCGMPの要件を満たすための助けをする21 CFR211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うべきである。貴社がFDAと共に貴社のコンプライアンス状態の解決を達成しようとする前に、適格なコンサルタントが、FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsによって貴社のCGMP遵守に関し貴社の全ての作業の6つのシステム(※)の包括的な監査を実施し、CAPAの完了と効果も評価すべきである。
※6つのシステム:品質システム、施設及び装置のシステム、原材料システム、製造システム、包装&ラベル貼付システム、試験管理システム
これらの活動が完了したら、貴社の是正処置・予防処置の実施と適切性を検証する報告を提出せよ。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、全ての違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題に迅速かつ適切に対応しない場合、通知なしで、差し押さえや差し止め命令を含む規制または法的措置につながる可能性がある。未解決の違反は、他の連邦政府当局との契約を阻むかもしれない。
違反への対応の不履行は、FDAの輸出証明書の発行の差し控えにつながる可能性がある。全ての違反が完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。また、我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/purechempros-llc-649677-09012023

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■Warning Letter 320-23-37■

アラバマ州のOTC医薬品の製造業者に対して発した2023年9月12日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

■Warning Letter 320-23-38■

テキサス州のOTC医薬品の製造業者に対して発した2023年9月14日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

FDAはFD&C Act 704(a)(4)、21 U.S.C.374(a)(4)に従って、記録及びその他の情報の要求をしたが、回答がなかった。
FD&C Act 301(e)(21 U.S.C.331(e))のもとで、704(a)で要求される記録へのアクセスまたはコピーを許可することを拒否することは禁止されている。
貴社は704(a)(4)の記録の要求および関連するコミュニケーションに応じることを怠ったので、我々は貴社の施設で製造された医薬品として登録されている医薬品の品質保証のレベルを示すものを持っていない。
登録・医薬品リストのステイタスを確認または更新するために、48時間以内にこの文書に答え、記録及びその他の情報の要求に答えるつもりか示せ。貴社が医薬品の製造をしていないなら、最後のロットの使用有効期限を製品の販売終了日として使用し、前にFDAに登録された全ての医薬品をリストから除き、それに基づき貴社の製造所の登録を解除する。
当局は、提供された情報を確認し、貴社の製造作業のコンプライアンスの評価をするために、査察を実施するかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/gulf-states-international-inc-666918-09122023
出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/maison-blanche-llc-666943-09142023

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■Warning Letter 320-23-39■

中国の医薬品の製造業者に対して発した2023年9月18日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

貴社は、子供用歯磨き粉を含むOTC医薬品の製造業者としてFDAに登録されている。貴社で製造されているとして登録されている医薬品の成分は、ジエチレングリコール(DEG)やエチレングリコール(EG)の影響を受けやすい成分を含んでいる。
FDAはFD&C Act 704(a)(4)、21 U.S.C.374(a)(4)に従って、記録及びその他の情報の要求をしたが、回答がなかった。
FD&C Act 301(e)(21 U.S.C.331(e)のもとで、704(a)で要求される記録へのアクセスまたはコピーを許可することを拒否することは禁止されている。
DEGまたはEGで汚染された成分の使用は、世界中の人々に様々な致命的な中毒事件をもたらしてきた。
DEGまたはEGの汚染の高いリスクがある成分を含む医薬品の製造の際に貴社がCGMP要件を満たす助けとして、FDAのガイダンス文書Testing of Glycerin, Propylene Glycol, Maltitol Solution, Hydrogenated Starch Hydrolysate, Sorbitol Solution, and Other High-Risk Drug Components for Diethylene Glycol and Ethylene Glycolを見よ。
貴社は704(a)(4)の記録の要求および関連するコミュニケーションに応じることを怠ったので、我々は貴社の施設で製造された医薬品として登録されている医薬品の品質保証のレベルを示すものを持っていない。
FDAがCBMPとその他の適用される要件への準拠を確認できるまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。
FDAは、貴社が製造した医薬品に対して2023年8月19日に輸入警告措置66-79をとった。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/zhao-qing-longda-biotechnology-co-ltd-664934-09182023

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■CMS 661280■

2023年4月26日~5月5日のジョージア州の製造所の査察でみつかった医薬品に関するCGMP違反について発した2023年9月11日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1

貴社は、装置の洗浄とメンテナンスに関する適切に文書化された手順を制定しそれに従うのを怠った。(21 CFR 211.67(b))
<指摘1詳細>
貴社は、OTCの手指の消毒用医薬品を製造している。また貴社は、OTC医薬品と同じ製造装置で市販の工業化学製品も製造している。手指の消毒用医薬品の製造に先立って製造されていた工業化学品の一部のラベルには、“腐食性。取返しのつかない目のダメージと皮膚のやけどを引き起こす。飲み込んだり、吸入したり、皮膚から吸収されたら有害である。重度のやけどと目のダメージを引き起こす”と表示されている。さらに共有タンクの装置使用ログには、手指の消毒薬のロットの製造に先立って製造された、非医薬品である工業化学製品のロットの製造後の洗浄に関する文書が不足していた。
交叉汚染のリスクから、これらの非医薬品の製造に使用するのと同じ装置を使って医薬品を製造することはCGMP上受け入れられない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 貴社の施設内で、非医薬品と共有の装置で医薬品の製造を中止するという確認
  • 医薬品と非医薬品の両方を貴社の施設で製造し続けるなら、いかに専用の製造装置を持ち、医薬品製造と工業製品の製造作業のための製造エリアを分離するつもりかを示す計画を提出せよ。
  • 工業製品と共有の装置で以前に製造した全ての医薬品のリスクアセスメント
    各製品について、共有の装置による潜在的な交叉汚染のリスクを評価し、回収や市場からの撤退の可能性も含め、販売中の製品の品質と患者の安全性のリスクに対応するための計画を提出せよ。
  • 施設と装置の定期的で慎重な運用管理の監視を実装するための是正処置・予防処置(CAPA)の計画
    この計画は、とりわけ、装置/施設の性能の問題の迅速な検知、修繕の効果的な実施、適切な予防保守計画の遵守、装置/施設のインフラのタイムリーな技術的アップグレード、継続的なマネジメントレビュのためのシステムの改善を保証しなければならない。

●指摘2

貴社は、同一性と、純度、濃度、品質の適切に文書化された規格への一致について、各成分のサンプルを試験することを怠った。貴社は、成分の供給者の分析試験の信頼性を適切な間隔でバリデートし検証することを怠った。(21 CFR 211.84(d)(1), 211.84(d)(2))
<指摘2詳細>
貴社は、成分(すなわち、塩化ベンザルコニウム、グリセリン)の各ロットの同一性試験を実施することを怠り、貴社の手指の消毒用医薬品の製造に使用される有効成分エタノールの適切な同一性試験を実施することを怠った。また貴社は、適切な間隔で供給者の分析試験の信頼性を確証せず、供給者の分析証明書(COA)を信頼した。
〇グリセリンを含む製品
貴社はグリセリンを含む医薬品を製造している。グリセリンは、他のハイリスクの成分と共に、ジエチレングリコール(DEG)またはエチレングリコール(EG)に関する安全性の限界を満たすことを保証するために、アメリカ薬局方(USP)による識別試験が必要である。特にEGは貴社の製品XXの成分である。これらの有害な不純物を検知するUSP識別試験を使用して、各ロットの各入荷品の同一性試験を実施しなかったので、貴社は医薬品の製造に使用されるグリセリンの許容性を保証していなかった。
DEGまたはEGで汚染された成分の使用は、世界中の人々に様々な致命的な中毒事件をもたらしてきた。
DEGまたはEGの汚染の高いリスクがある成分を含む医薬品の製造の際に貴社がCGMP要件を満たす助けとして、FDAのガイダンス文書Testing of Glycerin, Propylene Glycol, Maltitol Solution, Hydrogenated Starch Hydrolysate, Sorbitol Solution, and Other High-Risk Drug Components for Diethylene Glycol and Ethylene Glycolを見よ。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • この文書の日付から30暦日以内に、貴社の医薬品の製造に使用されるハイリスクの成分の全てのロットの保管品試験の中のDEG及びEGの試験結果を提出するという約束
    もし成分のロットの保管品が利用できない場合、DEG及びEGの存在について、関係する最終製品のロットの保管サンプルの試験を実施せよ。
  • DEGまたはEG(これに限定されないがグリセリンを含む)の汚染のリスクがある成分を含む、使用期限内の医薬品の完全なリスクアセスメント
    DEGまたはEGを含む可能性のある成分及び関連する製品の全てのロットの安全性を判断するために、汚染されたロットについて顧客への通知や製品の回収を含む、迅速で適切な措置を講じよ。これに限定されないが、入荷した原材料の全てのロットが、完全に適格性評価をされた供給者からのもので、安全でない不純物を含んでいないことの保証を含む、今後のサプライチェインを保護するための追加の適切なCAPAを明らかにせよ。この文書への回答の中でこれらのアクションについて説明せよ。
  • 成分の各ロットの同一性、濃度、品質、純度に関する全ての適切な仕様への一致をいかに試験するつもりかの記述
    もし、濃度、品質、純度に関して成分の各ロットの試験をする代わりに供給者の分析証明書(COA)の結果を受け入れるつもりなら、初期のバリデーションと定期的な再バリデーションを通して供給者の試験結果の信頼性をいかに確実に確証するかを明記せよ。さらに必要に応じて、入荷した成分の各ロットについて、少なくとも1つの特定の同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。グリセリン、プロピレングリコール、特定の追加のハイリスクの成分の場合、アメリカ薬局方(USP)モノグラフのパートA, B, Cの実施が含まれることに注意せよ。
  • 製造の使用の許容性を判断するため、ハイリスクの医薬品成分の入荷ロットを試験するために貴社が使用する化学的品質管理の規格
  • 成分、容器、蓋の全ての供給者が適格と評価され、原材料には適切な使用期限またはリテスト日付が付与されているかどうかを判断するための、貴社の原材料システムの包括的で独立したレビュ
    レビュは、入荷した原材料の管理が、不適切な成分、容器、蓋の使用を防ぐために適切か どうかも判断すべきである。
  • 各成分の製造業者のCOAの信頼性を評価するために全ての成分の試験から得られた結果のサマリ
    このCOAのバリデーションプログラムについて述べた標準操作手順書(SOP)も提出せよ。

〇エタノールを含む製品
貴社はエタノールを含む医薬品を製造している。メタノールで汚染されたエタノールの使用は、世界中の人々に様々な致命的な中毒事件をもたらしてきた。
FDAのガイダンス文書Policy for Testing of Alcohol(Ethanol) and Isopropyl Alcohol for Methanol, Including During the Public Health Emergency(COVID-19)を見よ。

●指摘3

貴社は、好ましくない微生物が含まれていないことが要求される医薬品の各ロットについて、必要に応じて、適切な試験を実施することを怠った。(21 CFR 211.165(b))
<指摘3詳細>
貴社は、手指の消毒薬について、微生物学的属性を試験することを怠った。リリースの前に各ロットの試験なしに、医薬品の全てのロットに使用目的の観点で好ましくない微生物の汚染がないという科学的証拠が不足している。
この文書への回答の中で、ロットの処遇の判断をする前に製品の各ロットを分析するのに使用される化学及び微生物の試験方法と規格のリストと、関連する文書化された手順を提出せよ。

●指摘4

貴社の品質管理部門は、貴社で製造された医薬品がCGMPを遵守し、同一性、濃度、品質、純度に関して制定された規格を満たすことを保証するための責任を果たすことを怠った。
(21 CFR 211.22)
<指摘4詳細>
貴社は、貴社の医薬品の製造を監督する責任と権限を持った適切な品質部門(QU)を設置することを怠った。例えば、貴社のQUは以下のことを保証するのを怠った:

  • 医薬品の製造工程のバリデーション、貴社の水システムXXのバリデーションとモニタリング(21 CFR 211.100(a))
  • バリデートされた分析方法が医薬品の試験に使用されていること(21 CFR 211.160(b))
  • 適切な安定性プログラムの遵守(21 CFR 211.166(a))

貴社の品質システムは不十分である。CGMPの規制21 CFR parts210, 211の要件を満たすために品質システムとリスクマネジメントアプローチを実装する助けとして、FDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。
この文書への回答の中で、貴社のQUが権限とリソースを与えられ、効果的に機能することを保証するための、包括的なアセスメントと改善計画を提出せよ。アセスメントには、これに限定されないが、以下の内容も含めるべきである:

  • 貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
  • 適切な手順の遵守を評価するための、貴社作業全体のQUの監督に関する規定
  • QUのロットの処遇の決定前に各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュの実施
  • 調査の監督と承認と、全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するためのQUのその他全ての職務の遂行
  • また、経営陣が、これに限定されないが、製造/品質の新たな問題に積極的に対処し、継続的な管理状態を保証するためのタイムリーなリソースの提供を含む、品質保証と信頼できる作業をいかにサポートするかについて述べよ。

●医薬品製造の停止

我々は、貴社がこの施設での医薬品の製造を停止すると約束したことを認識している。この文書への回答の中で、今後この施設で医薬品の製造を再開するつもりかどうかを明確にせよ。医薬品の製造を再開する場合は、作業を再開する前に連絡せよ。

●医薬品の登録とリスト

国内規定のため省略

●CGMPコンサルタントの推奨

我々が貴社で発見した違反の性質に基づき、貴社の作業を評価し貴社がCGMPの要件を満たすための助けをする21 CFR 211.34に記載されている適格性のあるコンサルタントを雇うべきである。
貴社がFDAと共に貴社のコンプライアンス状態の解決を達成しようとする前に、適格なコンサルタントが貴社のCGMP遵守に関し貴社の全ての作業に関する6つのシステム(※)の包括的な監査を実施し、CAPAの完了と効果も評価すべきである。
※6つのシステム:品質システム、施設及び装置のシステム、原材料システム、製造システム、包装&ラベル貼付システム、試験管理システム
貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。
貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、全ての違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。この問題に迅速かつ適切に対応しない場合、通知なしで、差し押さえや差し止め命令を含む規制または法的措置につながる可能性がある。未解決の違反は、他の連邦政府当局との契約を阻むかもしれない。
違反への対応の不履行は、FDAの輸出証明書の発行の差し控えにつながる可能性がある。全ての違反が完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。また、我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/kor-chem-inc-661280-09112023

まとめ

いかがでしたでしょうか。

指摘内容に目新しいものはなかったのですが、最近、FDAの記録や情報の提出要求を拒否するケースが連続して発生しているのが気になりました。

新型コロナのパンデミックを経て、FDAの権威が低下しているのではないか?
中国の提出拒否は、米中の対立が影響しているのではないか?
と想像していまいます。

これまで、絶対的な権威のもとで世界中の医薬品の安全性・有効性を守ってきたFDAには、今後もその役割を果たしてほしいと思います。

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【発行責任者】

株式会社プロス 『ASTROM通信』担当 橋本奈央子 hashimoto@e-pros.co.jp

※本記事は株式会社プロスの許可を得て転載しております。

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