【MDSAP適合性チェックリスト】製造及びサービス管理(CH6)

MDSAP(Medical Device Single Audit Programの略)はオーストラリア、ブラジル、カナダ、日本、アメリカの5か国の規制当局の規制要求事項に対する製造業者のQMSの適合性および妥当性を、認定された調査機関による1度の調査で確認するプログラムです。
カナダでは、2017年、2018年を移行期間として、 2019年1月1日以降、これまでのCMDCASからMDSAPに完全移行します。
そして2019年よりMDSAPの認証のみ受け入れます。
カナダで医療機器を販売する企業の場合、MDSAPを必ず受審・認証を受けなければなりません。

MDSAPは一度の調査で5か国の規制要件への適合性が調査されます。
すなわち、5か国共通の要求事項に対する重大な不備が発見された場合、調査機関から5か国に対し当該不適合が報告されてしまうことになります。
場合によってはFDAからWarning Letterが送られてくることもあり得ます。for cause査察が行われる等の可能性もあります。
また、初年度にグレード4、5に等級付けされた不適合を次回監査までに是正できていない場合、加点ルールに従ってさらに高い不適合グレードを付与されてしまいます。
つまり、1年目はかろうじて監査をクリアしたとしても、次回調査で当局報告レベルに達する不適合判定を得てしまう可能性があります。

MDSAPはCompanion Documentをベースにプロセスリンケージに着目した調査が行われます。
Companion Document:13485:2016をベースにし各国の要求事項を追加したMDSAP調査手順書です。
Companion DocumentはISO13485の箇条をそのまま記載するのではなく、各要求事項の遵守により達成されるべき状態に製造業者のQMSがあることを確認することを求めています。
FDAのQSITに近い査察手順書です。
すなわち、ISO13485等の要求事項の本質を製造業者が理解し、自社のQMSに落とし込んでいるかが調査されます。さらに、プロセスリンケージに沿った調査が行われるため、QMS内のプロセスのつながりを適切に理解しないことには、調査にタイムリーかつ適切に対応することは難しいでしょう。
MDSAP受審前に、規制要求事項の本質の理解および自社のQMSの理解、自社QMSの不備事項の事前の発見、改善が肝心といえます。

本MDSAP適合性チェックリストは医療機器各社がMDSAPを受審する前の自己点検用に作成したものです。

ぜひご活用ください。

目次
6. 製造及びサービス管理
6.1 製品が所定の用途又は意図する用途、製品に関連する法令・規制要求事項、及び(該当する場合)機器固有識別子の要求事項を満たすために必要となる、必要な管理、管理条件、及びリスクマネジメント活動を含め、製品実現プロセスが計画されていることを検証する。製品実現の計画が、QMSの他のプロセスの要求事項と整合しており、品質目標を考慮して実施されることを確認する。
6.1.1 計画
6.1.2 機器固有識別子(UDI)
6.1.3 品質目標
6.2 次に示す基準を考慮して製造プロセスをレビューする。監査対象とする1つ又は複数の製造プロセスを選択する。
6.3 選択した各プロセスについて、製造及びサービスプロセスが計画され、下記を含む管理条件下で実施されているかどうかを確認する:
6.3.1 作業指示書、手順、及び製造プロセスの確立
6.4 組織が、滅菌前の洗浄を含む製品の清浄に関する文書化された要求事項、非滅菌で提供される場合の清浄に関する要求事項を確立し、必要な場合は製造用物質が製品から除去されることを保証しているかを確認する。
6.4.1 清浄に関する要求事項
6.4.2 製造用物質
6.5 建物、作業場所、プロセス装置、及び支援サービスを含め、製品の適合性を達成するためのインフラストラクチャーに関する要求事項を組織が決定し、文書化していることを検証する。建物、作業場所、及び支援サービスは製品が要求事項を満たすことのできるものであることを確認する。製品品質にとって重要である場合、プロセス装置の保守に関する要求事項が文書化され、実施されていること、及び保守の記録が維持されていることを検証する。
6.5.1 インフラストラクチャーに関する要求事項
6.5.2 設備の保守
6.6 次について、文書化された要求事項が確立され、実施され、維持されていることを検証する:
6.6.1 汚染管理
6.6.2 要員
6.7 アウトソースされたプロセスを含め、選択したプロセス及びサブプロセスがレビューされ、これらのプロセスのバリデーションが必要か否かの判断が行われたかどうかを確認する。
6.7.1 プロセスバリデーション
6.8 選択したプロセスの結果が十分に検証できない、又は検証はできるが未検証の場合には、文書化された手順に従って当該プロセスのバリデーションが確認されていることを検証する。計画された結果を一貫して得る当該プロセスの能力がバリデーションによって証明されることを確認する。以前にバリデーションされたプロセスに変更が生じた場合には、当該プロセスがレビューされ、評価されたことを確認する。必要に応じて再バリデーションが実施されたことを確認する。
6.8.1 プロセスバリデーション
6.8.2 プロセスバリデーション手順
6.8.3 バリデーションのレビュー
6.8.4 計画された結果の達成
6.8.5 不適合の証拠
6.9 製品が滅菌されて供給される場合
6.9.1 滅菌プロセスのバリデーション
6.9.2 無菌であることが意図される機器の製造プロセスの管理
6.10 製品特性の監視及び測定のためのシステムにより、規定の要求事項に対する製品の適合性を証明可能であることを検証する。製品監視活動のタイプ及び程度において製品リスクが考慮されていることを確認する。
6.10.1 監視システム
6.11 製造及びサービスに用いられたプロセスが適切に管理され、監視され、所定の限度内で運用され、製品実現記録として文書化されていることを検証する。さらに、製造業者が製造プロセスについて特定したリスクコントロール対策が実施され、監視され、評価されていることを検証する。
6.11.1 プロセスの管理及び監視
6.12 組織が特定した要求事項に従ってプロセスを実施し維持する能力を要員が有していることを検証する。
6.12.1 要員の訓練及び適格性確認
6.13 組織が規定の要求事項への適合性の証拠を提供するのに必要な監視及び測定機器を決定していることを確認する。製造及びサービス管理に用いられる監視及び測定機器が特定され、調整、校正、保守されていて、有効な結果をもたらすことができることを検証する。
6.13.1 保守及び校正
6.13.2 正確度及び精度
6.13.3 記録のレビュー
6.14 装置が規定の要求事項に適合していないことがわかった場合に組織が以前の測定結果の妥当性を評価(及び記録)し、当該装置及び影響を受けるすべての製品に対して適切な処置を講じていることを確認する。監視及び測定機器の管理が有効な結果を確実にするために適切なものであることを検証する。監視及び測定機器が損傷又は劣化から保護されていることを確認する。
6.14.1 監視及び測定機器の管理
6.14.2 手順
6.14.3 装置が規定範囲外であることがわかった場合
6.15 選択したプロセスがソフトウェアによりコントロールされている場合、あるいは製造設備又はQMSでソフトウェアが使用されている場合は、その意図する用途に関して当該ソフトウェアのバリデーションが行われていることを検証する。ソフトウェアバリデーションは装置の適格性確認の一部とすることができる。
6.15.1 製造及び品質システムソフトウェアのバリデーション
6.16 製造業者が、機器の仕様、製造プロセスの仕様、品質保証の手順、トレーサビリティの要求事項、及び包装、ラベリングの仕様、並びに該当する場合は据付け及びサービスの要求事項の場所を含む、又はそれらの場所について言及しているファイルを機器の各タイプについて確立し、維持していることを確認する。製造業者が、機器が規定の要求事項を満たさない場合に機器によってもたらされるリスクに基づいてトレーサビリティの範囲を決定していることを確認する。
6.16.1 記録
6.16.2 全般的トレーサビリティ
6.17 医療機器の各バッチの製造数量及び流通承認数量の記録を製造業者が作成し、維持しているか、記録が検証され承認されているか、タスク16で言及したファイルに従って機器が製造されているか、製品リリースの要求事項が満たされ文書化されたかを確認する。
6.17.1 機器の製造の検証
6.17.2 問題があるかどうかの確認
6.18 組織が能動又は非能動埋込型医療機器、生命支援又は生命維持のための機器を製造している場合、これらの機器の検査又は試験を実施する担当者の記録に加えて、すべての構成部品、材料及び作業環境条件(これらが、医療機器がその規定の要求事項を満たさない原因となった場合)のトレーサビリティの記録を製造業者が維持していることを確認する。これらの機器の流通業者又は販売業者が流通記録を維持し、それらを査察のために閲覧可能•利用可能にするよう組織が求めていることを確認する。組織がこれらの機器の出荷先の名称及び住所を記録していることを検証する。
6.18.1 埋込み型、生命支援又は生命維持のための機器のトレーサビリティ
6.18.2 医療機器のトラッキング
6.19 製品の状態識別が、必要な検査及び試験に合格した製品のみが発送、使用又は据付けされることを確実にするのに十分であることを検証する。
6.19.1 識別
6.20 組織が製品の使用又は製品への組み入れのために提供された顧客の所有物を識別、検証、保護、保護するための管理を実施していることを検証する。組織が患者情報及び機密健康情報を顧客の所有物として扱っていることを検証する。
6.20.1 顧客の所有物の保護
6.21 受入活動が仕様への適合性を保証するものであり、文書化されていることを検証する。受入活動の範囲が機器によってもたらされるリスクに相応のものであることを検証する。
6.21.1 一般に認められている受入れ活動
6.21.2 関連会社が関与する受入れ活動
6.21.3 サンプリング
6.21.4 管理の組合せ
6.21.5 不適切な受入れ活動の証拠
6.22 不適合が規定要求事項を満足する機器にもたらすリスクに基づき、不適合製品の識別、管理及び処分が適切であることを検証する。
6.22.1 手順
6.22.2 不適合製品の取扱い
6.22.3 不適合製品の評価
6.23 製品の手直しが必要な場合は、製造業者が手直しが製品に及ぼす悪影響を明確にしていることを確認する。手直しのプロセスが承認された手順に従って実施され、手直しの結果が文書化され、並びに手直しされた製品が、要求事項に適合していることを証明するための再検証が行われたことを検証する。
6.23.1 不適合製品の手直し
6.24 内部加工、保管、及び意図した納入先への輸送中に製品及び製品の構成部品の適合性を保つための手順が確立され、維持されていることを検証する。この保存には、有効期間が限られた製品又は特別な保管条件を必要とする製品を含め、識別、取扱い、包装、保管及び保護を含む。
6.24.1 適切な取扱いの確保
6.25 組織が顧客への製品供給を約束する前に、注文書に記載された要求事項を含め、顧客の要求事項のレビューを実施していることを確認する。組織が流通記録の維持に関して規制当局が求める文書を維持していることを検証する。
6.25.1 流通記録
6.26 据付け活動が必要な場合は、据付け及び検証活動の記録が維持されていることを確認する。
6.26.1 据付け活動
6.26.2 レビュー範囲の決定
6.27 サービス活動が定義され、確立された説明書及び手順に従って実施され、文書化されていることを確認する。サービス記録が測定、分析及び改善プロセスにおける品質データソースとして用いられていることを確認する。
6.27.1 手順
6.27.2 サービスプロセス
6.27.3 サービス報告の分析
6.28 適切な場合、組織のリスクマネジメントプラクティスの実施結果に従い、リスクコントロール及びリスク低減対策が輸送、据付け及びサービスに適用されていることを検証する。
6.28.1 リスクコントロール
6.29 製造及びサービス管理プロセス全体の評価に基づき、マネジメントが医療機器が規定の要求事項及び品質目標を満たすことを確実にするために製造及びサービス管理プロセスヘの必要なコミットメントを提供しているかどうかを確認する。

10%の税金を含む

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