【最近のウォーニングレター】ASTROM通信 231号

今日から師走に突入ですが、いかがお過ごしですか?

さて、今回は、アメリカ国内の製薬会社向けに出されたウォーニングレターを2件取り上げたいと思います。

最後までお読みいただければ幸いです。

最近のウォーニングレターの概要  

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。

■WL#612765■

2020年10月7日~10月28日のニューヨーク州の製造所の査察でみつかった原薬製造の重大なCGMP違反について発した2021年7月6日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1

原薬の同一性または純度の取り違えや紛失を防ぐために、適切なCGMPのもとで原薬の再包装、再ラベル貼付、保管をすることの不履行
<指摘1詳細>
貴社は原薬間の交叉汚染を防ぐための適切な管理をすることを怠った。しかし、我々の貴社の記録のレビュで、貴社がロムスタチンのロットXXの再包装について細胞毒性を有する化学療法のエージェントである顧客に請求したことを発見した。貴社は時々再包装をしていたと認めたが、具体的なロムスタチンの再包装作業を思い出すことが出来なかった。この再包装作業は、バッチレコードや装置の使用ログを含む作業の基本的な文書が欠けていた。
更に貴社は、品質低下を防ぐために、製造業者の分析証明書(COA)で要求されている通りに冷蔵する代わりに室温でロムスタチンとヒト絨毛性ゴナドトロピンを不適切に保管したことを認めた。
また貴社は、除草剤、エンジン不凍冷却剤、ドライウォール修理製品を、原薬や包装資材を保管しているのと同じ部屋で保管した。貴社は、原薬や化学薬品を保管している冷蔵庫内で、ラベルが表示されていないアルミのバッグに入った個人的な食品と正体不明の製品を一緒に保管もしていた。
適切な施設の設計、有効な手順の制定、貴社の活動の記録の保持、安定した管理の実装を怠ったので、貴社により販売される医薬品は、汚染のリスクやその他の危険がある。
貴社は回答の中で、別々の棚を使うことで、医薬品の保管エリアを、細胞毒性化合物、ベータラクタム、強力な化合物、その他の原薬の4つの区域に分けるつもりであると述べた。
貴社の回答は不適切である。貴社は、貴社が取引している医薬品に関するリスクの特定や、交叉汚染や取り違えを防ぐための改善を保証するための適切な是正処置・予防処置(CAPA)の提出を怠った。
FDAは、原薬がCGMPに従って製造されたかどうかを判断する際、ICH Q7に概要が述べられた期待を考慮する。原薬の製造に関し、
FDAのガイダンス文書 Q7 Good Manufacturing Practice Guidance for Active Pharmaceutical Ingredients
を見よ。
更なる情報については、業界向けガイドライン
 Non-Penicillin Beta-Lactam Drugs : A CGMP Framework for Preventing Cross-Contamination
を見よ。
我々は、貴社が再包装作業を一時的に停止したことを認識している。
この文書への回答の中で、以下の情報を提出せよ:

  • 貴社により販売された原薬が汚染されているか、ラベルの取り違えが起きているかどうかを判断するための独立した回顧的なリスクアセスメント
  • 全ての医薬品の製造における、使用目的の適合性を判断するための貴社の施設、装置、工程、原材料の独立したアセスメント
    適性のあるコンサルタントにより特定された全ての不適切な状態と手順をまとめたレポートを、CAPAとCAPA完了に関連したタイムラインと共に提出せよ。
  • 貴社がベータラクタムや強力な化合物を取り扱う(即ち、開封、サンプリング、秤量、移動)つもりなら、隔離保管のための包括的な計画
    より具体的には:
    • ベータラクタムの原薬に関し、これに限定されないが、非ベータラクタム原薬がむき出しにされる可能性のある施設からの完全かつ包括的に分離された設備を含む詳細なCAPAを提出せよ。
    • 非常に強力な原薬に関し、交叉汚染や保管の安全性に対する危険を防ぐための、封じ込めを保証する適切なCAPAを提出せよ。適切な設計と、装置、空気システム、部屋、手順に関する管理規定を含めよ。

●指摘2

原薬製造に使用する装置の洗浄やリリースに関する文書化された手順の制定と、手順をバリデートすることの不履行
<指摘2詳細>
貴社は、そのいくつかは非常に強力な原薬のために使用される、非専用の製造装置に関する洗浄のための適切に文書化された手順を制定することを怠った。さらに、貴社は、再包装装置の使用と洗浄を文書化することを怠った。例えば、貴社は、2020年4月9日あたりに使用された装置や、細胞毒性薬、ロムスタチンの再包装後に洗浄が実施されたかどうかを文書化していなかった。
査察中、貴社は、排気フード、用具(ステンレスのスプーン)、秤を洗浄するために、洗濯洗剤が使用されたと述べた。貴社は、適切な洗浄用の化学物質を使用することや、貴社の洗浄用物質や手順が効果的であることを示すための洗浄バリデーションを実施することを怠った。
貴社は回答の中で、“ただの小さい道具や装置がこれらの作業に使用され、これらの装置は使用前に視覚的にきれいであった。従って、我々は、販売されている原料の汚染のリスクは非常に小さいと信じている”と述べた。貴社は、販売された原薬について交叉汚染が発生していなかったことを裏付ける説得力のあるエビデンスを提出しなかったので、貴社の回答は不適切である。例えば、装置の使用ログや、いつ、どのように洗浄が行われたかを示す記録がなかった。
この文書への回答の中で以下の情報を提供せよ:

  • 貴社が販売した原薬で不十分な洗浄手順の影響を受けた可能性のあるすべてのロットについて、影響を判断するための独立したアセスメント
    もし、リスクアセスメントが貴社の不適切な洗浄手順により貴社の医薬品の品質が損なわれている可能性を示したら、顧客への通知や、製品の回収など貴社がとろうとしているアクションを明記せよ。
  • 貴社の洗浄バリデーションの戦略、手順、プロトコル、検証のタイムラインを含む包括的な計画
  • 貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を置いた洗浄バリデーションプログラムの適切な改善

それには、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:

  • より高い毒性を持つ医薬品
  • より高い有効性を持つ医薬品
  • 洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
  • 洗浄を難しくする特性を持った医薬品
  • 洗浄を最も難しくする拭き取り場所
  • 洗浄前の最大保持時間

さらに、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に、貴社の変更管理システムで取られるはずの手順を述べよ。

  • 製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションに関する適切なプログラムが整っていることを保証する、改訂されたSOPのサマリ

●指摘3

貴社の製造所で製造された原薬がCGMPに従っていることを保証するために、品質部門がその責任を果たすことの不履行
<指摘3詳細>
貴社には、原薬の製造に関する品質部門(QU)の適切な監督が不足していた。例えば、貴社のQUは、以下のことを怠った:

  • リリースと出荷の前の、貴社の原薬に関する適切な試験と、その結果の承認の実施
    貴社は、原薬の品質を確実にするための同一性試験を実施しなかった。貴社は、適切な適格性評価を通して供給者の分析の信頼性を立証せずに供給者のCOAをもっぱら信頼した。
    例えば、貴社は、貴社の顧客により試験され、非常に強力であることがわかったオキシトシンのロットXXとXXを出荷した。
  • もともとの密閉容器から別の密閉容器に再包装された原薬(例:ロムスタチン、アゼライン酸)の保管条件だけでなくリテストや使用期限を裏付ける安定性データがあることの保証
  • 貴社が受け取った原薬に関する規格の制定
  • 貴社の原薬の受領、リリース、出荷活動に関する適切に文書化された手順の制定
  • 製造指図の制定と承認及び、貴社の製造所で製造(例:再包装、再ラベル貼付)された原薬の全てのロットに関するバッチ製造記録を持つこと
  • CAPA、変更管理、調査(例:規格外の結果、不適合、苦情)に関する適切な手順の制定

貴社は回答の中で、入荷原料の受け取り、保管、リリースに関し、最近制定された手順を提出した。
貴社は、製造業者がCOAの規格への合格を報告しているかどうかに基づき、入荷原料を拒否・受入するつもりであると述べた。
貴社は、入荷した原薬、容器、蓋の各ロットを評価しリリースするのに使用する予定の規格制定に関するCAPAを提出しなかったので、貴社の回答は不十分である。貴社は、貴社の供給者の適格性評価プログラムの詳細を提出することも怠った。
我々は、貴社が適正な文書化手順を実装したことを知っている。しかし、貴社は今後の原薬の製造作業のための製造指図を制定・提出していない。
この文書への回答の中で以下の情報を提出せよ:

  • QUが効果的に機能するための権限とリソースを与えられていることを保証するための包括的なアセスメントと改善の計画
    アセスメントには、これに限定されないが以下のことを含めるべきである。
    • 貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
    • 適切な手順の順守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
    • QUの出荷判定の前の各ロットの完全で最終的なレビュとそれに関連する情報
    • 全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するための、QUの調査の監督・承認、及び、QUのその他の職務からの解放
  • 貴社が製造に使用するために入荷した成分の各ロットを試験しリリースするのに使用する化学及び微生物の品質管理規格
  • 同一性、濃度、品質、純度に関する全ての規格への一致について、各成分のロットをいかに試験するつもりかの記述

もし貴社が濃度、品質、純度に関し各成分のロットを試験する代わりに供給者のCOAから得られる結果を受け入れるつもりなら、最初のバリデーションと再バリデーションを通じて貴社の供給者の結果の信頼性をいかに安定して実証するかについて明記せよ。さらに、入荷した成分の各ロットについて、少なくとも1つの同一性試験を常に実施するという約束を含めよ。

  • 今後の製造作業(例:開封、サンプリング、秤量、移動、再包装、再ラベル貼付)のための製造指図と、貴社が作業を再開したら、製造されたはじめの5つのバッチレコード
  • 原材料に適切な使用期限またはリテスト日が付与されているかどうかを判断するための包括的で独立したレビュ
    レビュには、成分、容器、蓋の不適切な使用を防ぐために、入荷した原材料の管理が、適切かどうかの判断も含めるべきである。
  • もともとの密閉容器から別の密閉容器に再包装された各原薬のリテスト日または使用期限を裏付けるための安定性の検証
    この検証には、これに限定されないが以下のことを含めるべきである:
    • 安定性を示す方法
    • 各工程(タイムポイント)で試験される特定の特性の詳細な定義
    • 貴社の改善された安定性プログラムにおける、これら及びその他の要素を述べた全ての手順
  • 貴社が販売する医薬品を試験するために使用される予定の契約施設の適格性評価及び監督に関する貴社のプログラムのサマリ

●不良医薬品の受け取り

我々は貴社の供給者のリストをレビュし、貴社の原薬供給者の3社から得た全ての医薬品はこれらの会社から輸入した時点で輸入警告措置の対象であったことに気付いた。原薬供給者のうち2社から得た貴社で使用される医薬品は、供給者のCGMP不履行により輸入警告措置IA66-40のリストに載っていた。原薬供給者のうち1社から得た貴社で使用される医薬品は、供給者が海外の製造所のFDA査察または査察官の正当なアクセスの提供の先延ばし・拒否・制限したことにより輸入警告措置IA99-32のリストに載っていた。更に、貴社の原薬供給者のうち2社は、不良医薬品の原因となるCGMP遵守に関する問題でFDAがウォーニングレターを発行していた。不良医薬品の受け取りと配送または提供はFD&C Actの違反になる。
例えば:

  • XXからの全ての医薬品はXX年から、FDAの輸入警告措置IA66-40のリストに載っていて、今の時点で輸入警告措置が続いている。XXは、CGMP遵守の不履行によりFDAからウォーニングレターを受け取った。貴社は、この製造業者により2019年6月24日~10月21日に製造されたニトロフラントインの複数ロットを輸入し、2019年8月16日~11月18日に貴社の顧客に販売した。
  • XXからの全ての医薬品はXX年から、FDAの輸入警告措置IA66-40のリストに載っていて、今の時点で輸入警告措置が続いている。XXは、CGMP遵守の不履行によりFDAからウォーニングレターを受け取った。貴社は、この製造業者によりXXに製造されたピモベンダン(欧州薬局方)を輸入し、2019年5月15日に貴社の顧客に販売した。
  • XXからの全ての医薬品はXX年から、FDAの輸入警告措置IA99-32のリストに載っていて、今の時点で輸入警告措置が続いている。貴社は、この製造業者により2017年8月3日、2018年6月9日と10月10日に製造されたエストリオール(米国薬局方)を輸入し、2018年2月21日~2019年2月26日に貴社の顧客に販売した。

貴社には、貴社が販売した医薬品が全ての関連するCGMP要件に従って製造されていることを保証する責任がある。輸入警告に関する最新情報は、FDAのウェブサイトで見つけることができる。

●品質システムのガイドライン

貴社の品質システムは不適切である。CGMPの要件21 CFR part 210, 211を満たすための品質システムとリスクマネジメントアプローチの実装の助けのためにFDAのガイダンス文書Quality Systems Approach to Pharmaceutical CGMP Regulationsを見よ。

●CGMPコンサルタントの推奨

我々は貴社がCGMP要件を満たす手伝いをするために貴社の全ての作業を徹底的に評価する適格なコンサルタントを雇うことを強く勧める。貴社のコンサルタントの使用は、CGMPを順守するための貴社の義務を軽減するものではない。貴社の経営陣には、継続的なCGMP順守を保証するために、全ての不備とシステムの欠陥を解決する責任が残る。

●停止された医薬品製造

我々は、この製造所で医薬品の製造を停止するという貴社の約束を認識している。この文書への回答の中で、貴社が今後この製造所で作業を実施するつもりか明確にせよ。もし貴社が医薬品の作業を再開するつもりなら、活動を再開する前に我々に通知せよ。
さらに、貴社が貴社の所有権の移動、作業の外注、新しい場所への引っ越しを決めたら、貴社の作業を再開する前に我々に通知せよ。

●結論

この文書で挙げた逸脱は、貴社の製品に関する貴社の製造所に存在する逸脱の包括的なリストでもない。貴社には、これらの逸脱を調査し、原因を判断し、再発やその他の逸脱の発生を防止する責任がある。
全ての逸脱を速やかに是正せよ。この問題への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の逸脱は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
逸脱への対処の不履行は、輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての逸脱に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての逸脱に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/syntec-pharma-corp-612765-07062021

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■CMS#614278■

2021年3月1日~3月5日のフロリダ州の製造所の査察でみつかった医薬品製造の重大なCGMP違反について発した2021年7月27日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘

貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPに従い、同一性、濃度、品質、純度に関して制定された規格を満たすことを保証する責任を果たすことを怠った。
〇バッチリリースの品質管理の不足
貴社はアルコールフリーの手の除菌用ローションとラベル表示されたOTC医薬品を製造し販売した。
貴社の品質部門は、少なくとも2020年3月から12月まで、総好気性微生物数(TAMC)とカビ/酵母(Y/M)の最終製品規格に不合格のアルコールフリーの手の除菌用ローションを合格とし、リリースした。さらに貴社は、手の除菌用ローションXXロット#XX、手の除菌用ローションXXロット#XX、除菌用ティッシュロットXXにセパシア菌、日和見病原菌を発見した。貴社は2020年4月、7月、12月にそれらのロットを販売用にリリースした。
2021年3月5日に貴社の最高経営責任者によりサインされた宣誓供述書内で、貴社は、2020年3月1日から6月30日に製造された製品は、汚染された状態で出荷されたと述べた。
これらの外用剤は、傷ついた皮膚や感染リスクの高い集団に適用されるかもしれない。これらの製品の好ましくない微生物の汚染は、消費者に深刻な危険をもたらしうる。さらに、貴社は我々査察官に、貴社のトップスリーの顧客は、幼児、歩き初めの子供、幼稚園に入る前の子供を含む学校組織であると述べた。
微生物汚染のされた製品のリリースに関し、貴社のQUは、以下のことに関して職務と監督を行うことを怠った:

  • 貴社の最終製品が微生物に関する規格を満たさなかった時の規格外(OOS)の結果の開示と徹底的な調査
    貴社は、貴社の医薬品の成分を作る水設備XXの、水サンプル内の数えきれない微生物数(TNTC)の発見を含む不具合の開示と徹底的な調査も怠った。
  • 貴社のOTC医薬品を製造するために使用される水設備が使用目的に合っていたという保証
    水設備は、2020年3月23日にTNTCレベルが記録された微生物で汚染された水を製造した。
    これらの発見にも関わらず、貴社のQUはこのシステムから作られた医薬品成分を不合格にする権限を行使せず、かわりに、貴社は、好ましくない微生物で汚染されたOTC医薬品を製造しリリースすることを続けた。

貴社の水設備に関する欠陥は新しいことではない。FDAは、2019年10月29日に貴社と規制に関する会議を実施し、貴社の水設備の状態について議論した。貴社は会議中にXXを計画していると述べた。
FDAは水設備の不適切なモニタリングについて議論し、貴社は、適切でないモニタリングの理由は、限定された製造によると述べた。
FDAは非無菌の医薬品と好ましくない微生物に関係した業界内の微生物汚染問題により開始された回収数に関する情報を提供した。貴社は、もし水に関するOOSの結果を得たら、製品を隔離し、調査を開始し、回収が必要か判断するつもりだと述べた。しかし、貴社のQUは規制に関する会議の間にされた貴社の誓約に従わず、故意に製造で使用するために汚染された水をリリースし、TNTCとして記録された危険なレベルの微生物で汚染された製品を販売した。

〇最終製品規格と安定性プログラムに関する手順と責任の不足
貴社のQUは、以下のことに関するその職務と監督を実施することを怠った:

  • 有効成分の塩化ベンザルコニウムに関する最終製品規格の制定
    貴社は、最終製品の分析に関する規格を何度も変更し、まだ、規格の“最適化”と正当である根拠を示している最中であると述べた。
  • 医薬品がその属性を使用期間を通じて保持していることを保証する安定性プログラムの制定

貴社は回答の中で、“消費者の強い要求”により、それが合格である前提で充填し出荷するという判断がより優先的なリーダーシップによりされたと述べた。その後の最終製品の試験では時々バクテリアに関し陽性であることが示されたが、大部分は無視され、試験結果に一貫性がなくそれらがなぜ陽性だったかの明白な相関もないため、結果は信用できないものと判断された。
貴社は、前の経営陣がこれらのリリースの判断をしたと述べたが、現在の経営陣が微生物で高度に汚染されている医薬品を少なくとも23回出荷した。
貴社の回答は不適当である。貴社は、安全で効果のある医薬品が市場に出荷されることを保証するために、いかに品質部門が医薬品の製造工程の必要な監督を行うつもりかの詳細を提出しなかった。
例えば、貴社の回答は、貴社の品質部門が、いかに品質部門の責任の重要な要素である医薬品の全てのロットの適合性を判断するつもりかが詳細に述べられていない。さらに、製品ロットをリリースするための正当化のための微生物試験を単純に信頼することができない。汚染は、特に欠陥のあるシステム内では、通常は均一に分布していないので、それ故に、サンプルはロットの他のユニット内に存在するかもしれない汚染のタイプやレベルを表現していないかもしれない。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 市場にあり使用期限内の全ての製品に関する貴社の責任の書面での認識
  • 販売中の医薬品に関する有害事象や顧客の苦情の継続的なレビュを含む、品質アセスメントをいかに維持するかを示せ。
  • 市場にあり使用有効期限内にある貴社が回収していない全ての医薬品の完全な突き合わせ
  • 貴社が回収した全ての医薬品と、在庫に残っている医薬品の完全な突き合わせ
  • 貴社が処分した医薬品に関し、貴社がいかに在庫し、突き合わせをし、処分したかを明確に示す文書を提供せよ。
  • 連絡先情報、医薬品製造業者を解体しFDAの登録を抹消したことを示す文書を含む、貴社のビジネスの解体に関する詳細な計画を提供せよ。この計画の中で、貴社がいかに装置と資産を処分したかを示せ。

●好ましくない微生物

セパシア菌群は、非無菌の水性医薬品への汚染のリスクをもたらす。医薬品のセパシア菌群の汚染の深刻さに関する更なる情報は、FDAの注意書を見よ。

●製造所での製造の中止

我々は、2021年6月30日以後、医薬品の全ての製造と販売を中止するという貴社の判断を認識している。
もし、貴社、後継者、取得者がアメリカ市場のためにこの製造所で医薬品の製造作業を再開するなら、これらのCGMP違反の改善が必要となることに注意せよ。もし貴社がこの製造所、または、他の場所で医薬品製造作業を再開するつもりなら、貴社の作業を再開する前に、指摘されたCGMP違反に関し、詳細の裏付文書を含む全ての改善の確認文書と共に、当局に連絡せよ。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の製品に関する違反の包括的なリストでもない。貴社には、これらの違反を調査し、原因を判断し、再発を防止し、その他の違反を防止する責任がある。
この文書で挙げた違反を速やかに是正せよ。これらの違反への即座の適切な対処の不履行は、制限のない差し押さえ、強制命令を含む、さらなる通知のない制限または法的なアクションにつながるかもしれない。未解決の違反は、他の連邦機関の契約授与も妨げるかもしれない。
違反への対処の不履行は、輸出証明の発行の差し控えにもつながるかもしれない。全ての違反に完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新しい申請やリストの補完の承認を保留するだろう。我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/sanit-technologies-llc-dba-durisan-614278-07272021

まとめ

いかがでしたでしょうか。

アメリカの話とはいえ、2件ともなかなか衝撃的だったと思います。
1件目の、洗浄バリデーションを実施せず、洗濯洗剤を使っていたという話に衝撃を受けました。
また、2件目の微生物で汚染された水を使って除菌用ローションやティッシュを製造し販売をしたという内容を読み、ドラッグストアで購入した、海外製の除菌用ローションは大丈夫だろうか?と心配になりました。

消費者を危険にさらしたり不安にさせたりしないために、粛々とGMPを順守していくしかないとあらためて思いました。

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【発行責任者】

株式会社プロス 『ASTROM通信』担当 橋本奈央子 hashimoto@e-pros.co.jp

※本記事は株式会社プロスの許可を得て転載しております。

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