【最近のウォーニングレター】ASTROM通信 273号

今日から9月だというのにまだまだ暑い日が続いていますが、いかがお過ごすですか。

今回は、アメリカ食品医薬品局(FDA)がアメリカ国外の製薬会社に出したウォーニングレター2件を取り上げ、FDAがどのような点を問題視し指摘したかを確認していきたいと思います。
最後までお読みいただければ幸いです。

最近のウォーニングレターの概要  

注:文中のXXはウォーニングレターでマスキングされている文言及び具体的な社名・品名等です。

■320-23-19■

2023年1月30日~2月8日のインドの製造所の査察でみつかった医薬品製造に関するCGMP違反について発した2023年7月25日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1

貴社は、公式またはその他の制定された要求を超えて医薬品の安全性、同一性、濃度、品質、純度を変える可能性のある誤動作(故障)や汚染を防ぐために、適切な間隔で装置や器具を洗浄、メンテナンスしたり、消毒、滅菌することを怠った。(21 CFR 211.67(a))
<指摘1詳細>
XXとXXを含む非専用装置XXに関するメンテナンス手順は不十分である。我々査察官はXXシステム、XXユニットXX、XXの内側にあるものを含む、製品との直接的もしくは間接的な接触面に、異なる製品と思われる残留物を発見した。貴社は、XX、XX、XXの部署は、14年以上前に据え付けられて以来、洗浄度の検査がされていなかったことを認めた。査察中、貴社の分析試験で、これらの残留物は複数の有効成分を含んでいることを確認した。さらに査察中、貴社はプラセボのロットの終わりで残留物のサンプルを集め、その後に、洗浄を行い、それでも表面の原薬の交叉汚染を示していた。
XXの汚れた表面は、XXで処理される医薬品の汚染を促進する可能性がある。この装置やその他の装置の安定した設計、洗浄、メンテナンスは、交叉汚染を防ぐために重要である。
査察では、装置の汚染につながるXX内のXXの欠落や原材料の逆流も指摘した。例えば貴社は、XXエリア内のXXはいつもオープンな位置にあると述べた。また貴社はこの装置内のXXとXXの内側の粉体の蓄積が、装置のXX中の原材料の逆流により引き起こされたと示した。
これらの査察の指摘事項の結果として、貴社はクライアントと連絡を取り、貴社のXXで製造されたXX錠とXX錠の多数のロットの回収を開始した。
この文書への回答の中で、貴社は複数の製品のために使用されているXXとXXの全てを運転中止とし、装置を洗浄・交換し、装置のXX処理と洗浄のXXを改善したと述べた。また貴社は、貴社の洗浄手順を改訂し、貴社のXXとXXは、洗浄度を検証するために適切に検査され、洗浄記録を残していると述べた。さらに貴社は、医薬品の交叉汚染の可能性を評価するためにプラセボのロットを製造したと述べた。管理サンプルとプラセボのロットのサンプルのテストを通じて、貴社は商用に販売されたXX錠とXX錠に品質の影響はないと結論づけた。また貴社は患者の健康と安全性に対するリスクはなく、“原材料の汚染の可能性はない”と述べた。
貴社の回答は不十分である。交叉汚染は均一ではなく、貴社の管理サンプルとプラセボのロットは貴社の製品が汚れている装置からの汚染がないことを科学的に示せていない。さらに貴社はプラセボのロットの製造後に回収された有効成分は、“ほぼ間接的な接触面”から得られたものであると述べた。貴社は製品接触面から回収された汚染に十分に対処しておらず、他の場所や他のサンプリングでより高いレベルの汚染を示す可能性があることを認識していなかった。FDAは、XXの取り扱いにおける洗浄不足が医薬品間の交叉汚染につながった他の事例を認識している。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 交叉汚染の危険の範囲を評価するための、洗浄の有効性の包括的で独立したアセスメント
    残留物の特定、不十分に洗浄された可能性のある他の装置、交叉汚染された製品が販売のために出荷された可能性があるかのアセスメントを含めよ。アセスメントは洗浄手順と業務の不十分さを特定し、複数製品を製造するために使用されている製造装置を網羅すべきである。
  • 貴社の洗浄プロセスと業務の適切な改善と完了までのタイムラインを含む、洗浄プログラムの回顧的なアセスメントに基づく是正処置・予防処置(CAPA)
    装置の洗浄のライフサイクルマネジメントの手順の脆弱性の詳細なサマリを提出せよ。洗浄の効果の向上、全ての製品と装置のための適切な洗浄の実施の継続的な検証の改善、その他の必要な全ての改善を含む洗浄プログラムの改善について述べよ。
  • 貴社の医薬品製造作業におけるワーストケースとして特定された条件を取り入れることに特に重点を置いた洗浄バリデーションプログラムの適切な改善
    改善には、これに限定されないが、以下の全てのワーストケースの特定と評価を含むべきである:
    • より高い毒性を持つ医薬品
    • より高い有効性を持つ医薬品
    • 洗浄溶液の中でより低い溶解度の医薬品
    • 洗浄を難しくする特性を持つ医薬品
    • 洗浄を最も難しくする拭き取り場所
    • 洗浄前の最大ホールドタイム

さらに、回収物の検証結果を考慮した適切な限界値を持つことを保証し、新しい製造装置や新しい製品を導入する前に貴社の変更管理システムでとられるべき手順を述べよ。

  • 製品、工程、装置の洗浄手順の検証とバリデーションのための適切なプログラムが実施されていることを保証する最新の標準操作手順(SOP)のサマリ
  • 同様の不備が存在するか判断するために、全ての製造装置に関する洗浄手順と関連する洗浄バリデーションの戦略の全体的なレビュを提出せよ。

●指摘2

貴社は、適切な品質部門を制定することを怠り、品質管理部門に適用する手順は文書化されておらず、遵守されていなかった。(21 CFR 211.22(a), 22(d))
<指摘2詳細>
貴社の品質部門(QU)は施設の品質機能を適切に実施し、品質監視を確実にすることを怠った。
例えば:
A.不十分な洗浄手順
XXを洗浄するための貴社の手順はXXとXXを洗浄するための必要条件に欠け、14年以上前に据え付けられて以来洗浄されていなかった。また装置の洗浄度を視覚的に保証する手順は目に見える汚染を特定できなかった。
貴社は回答の中で、装置XXの部品の洗浄の視覚的な検証に関する標準書を改訂したと述べた。
その後、検証の記録は装置の洗浄記録に残された。また貴社は洗浄手順も改訂したと述べた。
貴社の回答は不十分である。貴社は、手順が文書化され実装前に適切にレビュされていることを保証するためにCAPAを実施したというエビデンスを提出することを怠った。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 貴社のQUが効果的に機能するために権限とリソースが与えられていることを保証するための包括的なアセスメントと改善の計画
    アセスメントは、これに限定されないが以下のことも含むべきである:
    • 貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
    • 適切な手順の遵守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
    • QUのロットの処遇の決定前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュの実施
    • 調査の監督と承認と、全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するためのQUのその他全ての職務の遂行

B.不十分な調査
貴社のQUは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって溶解について試験された長期安定性サンプルの異質のピークを適切に調査することを怠った。2020年1月24日付の調査で異なるピークを確認し、一部の錠剤で溶出した物であることに気付いたが、同じロットの他の錠剤では見られなかった。貴社は原因は製造中に使用された賦形剤によると判断し、ピークは製品の品質に影響しないと判断した。しかし貴社は、この結論に関する科学的な説明は提出しなかった。
貴社は回答の中で、貴社が実施した更なる調査について説明し、一貫性のピークはサンプルの調製に使用されたフィルタの浸潤が不十分だったことによると結論づけた。
貴社の回答は不十分である。貴社は、食い違いを調査する手順の適切なアセスメントが不足していた。さらに貴社は、調査が適切な根本原因の特定、CAPA、有効性の確認を含むことを保証する十分な是正処置、暫定的な管理を実施しているというエビデンスを提供することを怠った。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 逸脱、不一致、苦情、規格外(OOS)の結果、不具合の調査に関するシステム全体の包括的なアセスメント
    このシステムを改善するための詳細なアクションプランを提出せよ。貴社のアクションプランは、これに限定されないが、調査能力、調査の範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの有効性、品質保証の監督、文書化した手順の大幅な改善を含めるべきである。調査の全てのフェーズが適切に実施されることを保証する方法を説明せよ。
  • 全ての試験方法が、再現性とシステムの適合性を保証するための特定の指示が含まれていて、適切なバリデーション(または、米国薬局方(USP)公定法の確認)の検証によって裏付けられ、意図した用途に適していることを保証するための、詳細で独立したアセスメント
    アセスメントは、安定性プログラムで使用される試験方法が安定性を示しているかも判断すべきである。アセスメントの範囲は、貴社または契約試験機関で実施される試験も網羅すべきである。

●医薬品の回収と生産停止

われわれは貴社がアメリカ市場向けの特定の医薬品の製造と出荷を一時的に停止すると約束したと認識している。この文書への回答の中で、どの製品をアメリカ市場向けに製造し出荷し続けるか、また、今後、この施設でアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開するつもりかを明確にせよ。
もし貴社がアメリカ市場向けの医薬品の製造を再開するつもりであれば、作業を再開する前に連絡せよ。
また我々はこの施設で製造された使用期限内のXX錠とXX錠の回収も認識している。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、全ての違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
全ての違反を速やかに是正せよ。全ての逸脱が完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。また、我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/centaur-pharmaceuticals-private-ltd-655231-07252023

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■320-23-20■

2022年11月22日~12月2日のインドの製造所の査察でみつかった医薬品製造に関するCGMP違反について発した2023年7月28日付ウォーニングレターには、下記の指摘事項があげられています。

●指摘1

貴社の品質管理部門は、製造された医薬品がCGMPを遵守し、同一性、濃度、品質、純度に関して制定された規格を満たすことを保証することを怠った。 (21 CFR 211.22)
<指摘1詳細>
貴社は、貴社の施設で製造された医薬品の品質に関連するデータの信頼性を保証することを怠った。我々の査察は、これに限定されないが、オリジナルのCGMP文書の不十分な監督、コンピュータ化システムの不十分な管理、不十分な試験の調査、クロマトグラフのシーケンスの中止を含む重大な逸脱を明らかにした。
施設の上級管理者は、製造及び試験部門での深刻なデータ・インテグリティの欠陥につながるデータの信頼性を保証するための権限と責任を果たすことを怠った。これらの指摘事項は、貴社の品質保証機能が、これに限定されないが、貴社の作業を通じて使用されるCGMPデータの妥当性と信頼性の監督と管理を含む責任を果たしていないことも示している。
A.貴社は分析試験データのインテグリティを保証することを怠った。いくつかの例は以下の通りである:
1.我々査察官は、階段の吹き抜けの下の品質管理(QC)のスクラップエリア、一般非経口薬のスクラップルーム、施設の外のトラックの上に、破られて捨てられたCGMP文書の原本が入ったビニル袋を発見した。これらのCGMP文書の中には、環境モニタリングシステム(EMS)に関連するエンジニアリングチェックリスト、破られたカールフィッシャー(KF)分析試験のレポート、自動滴定曲線、最終製品の分析用の天秤重量伝票があった。
2.分析者は、XXの標準化の試験に関する分析用の天秤伝票が入ったゴミ箱に酢酸を注いでCGMPの記録を破棄した。QC職員は、同じ分析者がKF滴定曲線と天秤の印刷物を破棄するのを見たと述べた。職員はQC試験室の管理者に2022年11月22日に事件を報告した。破られたCGMP文書の破棄と貴社の医薬品の品質への影響についての調査は2022年11月28日まで開始されなかった。
3.分析者は、XX試験のXXのために、アミトリプチリン塩酸塩錠剤USP100㎎の同じロットのサンプルを複数回計量した。分析者は我々査察官に、全ての試験結果を報告していないと述べ、天秤の印刷物がゴミ箱に捨てられたケースがあるとも述べた。さらに、分析天秤とXXの印刷物のタイムスタンプは、試験情報管理システム(LIMS)の記録と一致していなかった。
貴社は回答の中で、適格なコンサルタントと、データ・インテグリティとガバナンス・コントロールの全体的で基本的なアセスメントの実施と改善計画を制定すると約束した。
この不備の範囲と製品品質への影響を完全に評価していないので、貴社の回答は不十分である。貴社は、文書作成を適切に監視しデータ・インテグリティの欠陥を防ぐために、試験室、作業、品質保証管理の重大な不備に適切に対処していなかった。

B.貴社の部門は、コンピュータ化システムの適切な管理を実施することを怠った。例えば:
1.貴社の電子のバッチレコードは、保存前にマニュアルで入力された内容を変更することが出来た。我々査察官は、製造職員が、作業が実施されたと報告されている時間を手動で変更しているのを見た。QAは矛盾を確認し、報告された日時を最初にログに記録されたものと比較するために、バッチレコードのレビュの一貫として監査証跡をレビュしなかった。
2.分析者は、QCの管理者に認められてない積分を追加することでクロマトグラムをマニュアルで再処理した。さらに貴社は積分イベントを手動で追加できるタイミング、これらのイベントを使用する方法とレビュする方法を述べた適切な手順に欠けていた。
3.医薬品に関連する破棄されたKFのローデータの紙の印刷物が、我々査察チームによりゴミ袋の中から発見された。含水試験や分析試験で使用されているKF装置は、電子データを保存することができるが、この機能は使用されず、貴社はこのデータを電子的に保存していなかった。
4.貴社の2018年のプロセス装置アセスメントレポートでは、アクセスコントロール、監査証跡、電子データの保存とクロック変更防止のアップグレードを必要とする、製造装置の多数の電子的な欠落と不備が確認された。貴社はコンピュータ化システムのデータ・インテグリティをサポートするためにこれらの是正処置・予防処置(CAPA)の終了を文書化していなかった。貴社のQA部門はQC試験室で同様のアセスメントを実施していなかった。
貴社は回答の中で、査察の指摘事項を認め、電子記録への変更を許可された個人を明記し、それらのアクションを記録する監査証跡を義務付ける”データ・インテグリティ“というタイトルのついた標準操作手順書を参照した。また貴社は、基本的なアセスメントの一貫として、逸脱に体系的に対処するために。適格なコンサルタントから専門知識を取得すると約束した。
貴社の回答は不十分である。貴社は手順を制定したが、コンピュータシステムのデータ・インテグリティの適切な監督をしなかったことによる試験と作業管理の重大な不具合を説明しなかった。また貴社は製造と品質に関わる全てのデータの完全性を保証するためにQA部門が権限と責任を完全に果たしていなかったことにも対処していなかった。

C.貴社は試験の調査の適切な監督と、クロマトグラフのシーケンスの多数の中止に対処するためのシステムのCAPAの実施をすることを怠った。例えば:
1.貴社は適切な科学的正当性もなしに、XX USPの複数の規格外(OOS)の試験結果を無効化し、その後、新しいサンプルを準備して合格結果を報告した。貴社はOOSの原因は最初のサンプルの準備中のXX汚染によると結論づけた。しかし、QAに承認されたラボの調査では、同じ原料の同じロットで、同じ分析者が同じ条件で準備した他のサンプルが、どうしてそのような汚染の影響を受けなかったのかについて議論しなかった。
2.貴社は2020年1月から2022年11月までの間、何百ものQC試験のクロマトグラフのシーケンスを中止にした。各事象は品質管理のラボで調査されたが、ラボの改善の対象とすべき再発する問題を評価し確認するための適切な傾向分析やCAPAのシステムが欠けていた。
貴社は回答の中で、ラボの逸脱を調査し、CAPAを適用し、その有効性をチェックするための手順と業務を強化する必要があると認めている。さらに貴社は、現在の傾向分析の手順は、評価を実施し、効果的な是正処置を実施するための体系的なツールが不足していることを認めている。
貴社の回答は不十分である。貴社の回答は、ラボの有害な事象の傾向を特定し対処する、または、貴社のラボの調査の全てのフェーズを改善するための全体的な管理戦略を提供するシステムを実装する方法に対処していなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 貴社のQUが効果的に機能するために権限とリソースが与えられていることを保証するための包括的なアセスメントと改善の計画
    アセスメントは、これに限定されないが以下のことも含むべきである:
    • 貴社で使用されている手順が安定していて適切かどうかの判断
    • 適切な手順の遵守を評価するための、貴社の作業全体のQUの監督に関する規定
    • QUのロットの処遇の決定前の、各ロットとそれに関連する情報の完全で最終的なレビュの実施
    • 調査の監督と承認と、全ての製品の同一性、濃度、品質、純度を保証するためのQUのその他全ての職務の遂行
    • また、経営陣が、これに限定されないが、新たに発生する製造/品質の問題に積極的に対処し、継続した管理状態を保証するためのリソースのタイムリな提供を含む、品質保証と信頼できる作業をいかにサポートするかについて述べよ。
  • 最初の査察の日から3年間の、最終的にアメリカに出荷されたかに関わらず、アメリカ向け製品に関する全ての無効化されたOOS(工程内試験、リリース試験、安定性試験を含む)の結果の回顧的で独立したレビュと、各OOSに関する以下のことを含む分析で見つかったことをまとめたレポート:
    • 無効化されたOOSの結果に関する科学的正当性とエビデンスが、決定的または決定的でなくても原因が試験のエラーであることを示しているかどうかの判断
    • 決定的に試験を根本原因であるとする調査について、論理的根拠を提出し、同じもしくは同様の根本原因に対して脆弱な全ての試験方法が改善のために特定されていることを保証せよ。
    • 回顧的レビュによって、試験が決定的な根本原因でない、または、試験は根本原因でないと判明した全てのOOSの結果について、製造(例:ロットの製造記録、製造ステップの妥当性、装置/施設の適合性、原材料のばらつき、工程の能力、逸脱の履歴、苦情の履歴、ロットの不具合の履歴)の徹底的なレビュを含めよ。各調査について、潜在的な製造の根本原因と、製造作業の改善のサマリを提出せよ。
  • コンピュータシステムの安全性と完全性に関する包括的で独立したアセスメントとCAPAの計画
    設計と管理の脆弱性を特定するレポートと、試験及び製造の各コンピュータシステムの適切な改善を含めよ。これに限定されないが、以下のことを含めよ:
    • 試験及び製造で使用される、スタンドアロン及びネットワーク型の、全ての機器を含む全てのハードウエアのリスト
    • ネットワーク型と、ネットワーク化されていないシステム(例:PLC)を網羅したハードウエアとソフトウエアの脆弱性の特定
    • 全てのソフトウエアの構成設定(機器のソフトウエアのLIMSの両方)とバージョン、全てのユーザ権限の詳細、貴社のコンピュータ化システムの監督責任のリスト
      ユーザ権限については、試験及び製造のコンピュータシステムもアクセスできる全ての職員の役割と、関連するユーザ権限(管理者権限を持つ人に許される特定の権限を含む)と、職員の組織上の所属と役職を明記せよ。また、職員に、データ保持や信頼を損なう管理者権限やそのほかのアクセス許可が与えられないことを保証する方法についても述べよ。
    • これに限定されないが、ユニークなユーザ名/パスワードが常に使用され、それらの機密性が保護されているかどうかを含むシステムセキュリティの規定
    • 監査証跡データの堅固な使用とレビュの詳細な手順と、貴社の各システムの現在の監査証跡実装の状態
    • 試験データの管理、レビュ、完全な保持のための、暫定的な管理方法と手続き上の変更
    • 暫定的なデータ保持方法に加えて、全てのCGMPデータの保持のためのより包括的で持続可能なCAPAの情報を提供せよ。これには、適切な期間のロット関連データの保持の必要性だけでなく、設計、適格性評価、バリデーション、適用を裏付ける開発研究からの全てのデータの長期保存の規定を含む。
    • スタンドアロンの機器(例:天秤、pHメータ、含水量試験)から電子システムを通して生成されたデータのLIMSネットワークへの統合を向上するための技術的な改善
    • これに限定されないが、不正アクセスを防止し、適切なユーザの役割の付与、全ての分析の二次レビュと他のシステムの管理を保証するためのシステムのセキュリティ管理を含む、手順上の改訂と関連する教育の詳細なサマリ
    • 貴社の記録内の情報への全ての追加、削除、変更が承認されていて、全てのデータが保持されていることを保証するための、電子及び紙ベースのデータの厳格で継続的管理を確実にする修正プログラム
      貴社の完全なCAPAの計画とこれまでに実施された全ての改善を提出せよ。
    • QA責任者、経営陣、適切なIT専門知識(例:インフラ、構成設定、ネットワーク要件、管理者権限の厳格な分離の理解)を持つ内部監査員による監督のための規定

●指摘2

貴社は制定された規格や標準への準拠を保証するために必要な全ての試験から得られた完全なデータを含む試験の記録を保証することを怠った。 (21 CFR 211.194(a))
<指摘2詳細>
A.貴社の試験記録は、実施された分析を裏付ける完全で正確なデータが不足していた。
コロニー形成単位(CFU)は、試験の環境モニタリング(EM)データ内では正しくカウントされていなかった。我々査察官は、貴社の分析者によって読まれた直後の、貴社の公式記録と一致しない環境及び職員のモニタリングのコロニー数を観察した。
貴社の分析者は、“マージされたコロニーが観察された場合、別のコロニーとしてカウントする”と手順に記載されているにもかかわらず、貴社の分析者は、2つのマージされたコロニーを1つのCFUとして記録することにより、カルボプラチン注射剤のロットのEMデータを過少評価した。貴社のラボの識別装置は、その後、結合されたコロニーを異なる2つの種と特定した。
特に貴社は2020年1月から我々の2022年11月の査察まで、Grade A(ISO5)のサンプリングの場所について、アクションリミットを超えるEM結果は無かったと述べた。

B.試験のローデータが見つからず、査察中に提供できなかった。例えば、分析者は、試験記録の中に、XXの印刷したローデータを一貫して含めていなかった。XXに関する紙の印刷物とpHの印刷物は、XXmg注射剤XX,プロセスバリデーションのロットXXに関して照合ができない。
XX装置は監査証跡機能が欠けていたため、報告されていないローデータはQAレビュのプロセス中に見つけられなかった。
全ての試験に関連したデータや試験条件の完全な記録の保持の不履行は、データの信頼性と、CGMPへの準拠を通じて品質を保証する義務を果たすQAの能力を大幅に損なう。
貴社は回答の中で、EMのサンプルは正確にカウントされておらず、“試験の業務は類似の形態でマージするコロニーを1つのコロニーとしてカウントしていた”と認めた。貴社は、アクションとアラートのサンプルについてEMの調査を開始し、独立したサードパーティのコンサルタントと協力することを約束した。我々は、貴社が微生物の分析者のためのモジュール式トレーニングを提供し、標準操作手順書(SOPs)を改訂したことも認識している。
また貴社は、見つからなかったXX装置の印刷物の調査をしたが、試験データがなくなった根本原因を明確に特定できなかったと述べた。貴社は、報告結果とローデータの照合に関するSOPの改善を約束した。
貴社の回答は不十分である。貴社は、EMデータやなくなった試験データに関して開始された調査や調査の最新情報を提出しなかった。貴社は職員及び環境のモニタリングデータの回顧的レビュとリスクアセスメントを実施するという約束をしなかった。貴社は、なくなった試験データのプロセスバリデーションのロットに与える影響を調査するという約束をしなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 文書化手順の不十分な箇所を特定するための貴社の製造及び試験の作業で使用されている文書化システムの完全なアセスメント
    貴社が作業を通して、同時性があり、帰属可能で、判読可能、完全で原本性があり正確な(ALCOA)記録を保持することを保証するために、貴社の文書化業務を包括的に改善する詳細なCAPAの計画を含めよ。
  • 逸脱、不一致、苦情、OOSの結果、不具合を調査するための貴社のシステム全体の包括的で独立したアセスメント
    このシステムを改善するための詳細なアクションプランを述べよ。貴社のアクションプランには、これに限定されないが、調査能力、調査の範囲の決定、根本原因の評価、CAPAの効果、品質部門の監督、文書化された手順の著しい改善を含むべきである。調査の全ての段階が適切に実施されていることを貴社がいかに保証するか述べよ。

●指摘3

貴社は、必要な試験管理メカニズムを確立しそれに従うことを怠った。 (21 CFR 211.160(a))
<指摘3詳細>
貴社は、クロマトグラフのピークの調査や、クロマトグラフのデータのレビュに関する適切な手順を持つことを怠った。
我々査察チームは、貴社の分析者が適切な手順の管理や正当化の理由もなく、合格結果を得る手動の積分を入力した実例を確認した。
さらに、貴社のクロマトグラフの統合手順は、分析者がいつ手動の積分を入力するかを特定していないので、不十分である。貴社の手順は、監督者の承認や、分析者が積分を手動で、いつ、どうして実施するかを一貫して文書化するためのデータレビュや正当化の理由などの他の管理の要件に欠けていた。貴社は回答の中で、指摘事項を認め、手動の積分の管理に関する規制上の期待を誤解していたと述べた。
貴社は全ての処理パラメータと方法を維持するためのソフトウエアのアップグレードを約束した。また、QCの試験の全体的なベースラインの監査を実施するために、適格なサードパーティのコンサルタントと協力すると約束した。
貴社の回答は不十分である。貴社は、手動の積分に関連する全てのクロマトグラフのデータの回顧的レビュを実施すると約束しなかった。我々は貴社がQCの試験をサードパーティと協力して監査するという約束を認識している。しかし貴社は、この監査の範囲や、継続的なサードパーティのラボの活動などの詳細な情報を提供しなかった。また貴社はQA部門によるQCの試験の監督や、クロマトグラフの業務の一貫性を向上するために追加されるべき管理についても適切に対処しなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 貴社の試験の業務、手順、方法、機器、文書、分析者の能力の包括的で独立したアセスメント
    貴社の試験に、適切な指示、方法の適合性の基準があり、目的に合っていると判断するために適切にバリデートされていることを保証するために、貴社で使用されている全ての試験の方法と手順のアセスメントを含めよ。このレビュに基づき、貴社の試験システムの有効性を改善し評価するための詳細な計画を提出せよ。
  • 貴社の規格外(OOS)の結果の調査システムの包括的なレビュと改善計画
    是正処置・予防処置(CAPA)は、これに限定されないが、以下のことへの対処を含むべきである:
    • 品質部門の試験の調査の監督
    • よくない試験管理の傾向の特定
    • 試験のばらつきの原因の解決
    • 試験の原因が決定的に特定できない場合はいつでも可能性のある製造の原因の徹底的な調査の開始
    • 各調査とCAPAの適切な範囲の決定
  • これら及びその他の改善を伴うOOSの調査手順の改訂

●指摘4

貴社は、貴社が製造する医薬品が、それが持つとうたわれている、または、表示されている、同一性、濃度、品質、純度を持っていることを保証するために設計された製造と工程管理に関する手順を文書化して制定することを怠った。 (21 CFR 211.100(a))
<指摘4詳細>
貴社はXXmg注射剤XXの製造プロセスを適切にバリデートすることを怠った。具体的には、貴社のプロセスバリデーションは、不純物XXとXXに関するロット間及びロット内のばらつきの評価が不足していた。不完全な不純物の試験によりXX内の異なる位置から生じた関連物質を評価するために、XXmg注射剤XXの4番目のプロセスバリデーションが開始された。この4番目のプロセスバリデーションのロットは、不純物XXの高いOOSの結果を得た。このOOSと4番目のプロセスバリデーションのロットの不具合は、バリデーションサマリーレポートや
付録の中で参照も説明もされなかった。5番目のプロセスバリデーションのロットが製造され、付録のレポートの中に含まれた。その後貴社は、不純物XXの高いOOSの結果により、アメリカ市場向けの商用ロットを不合格にした。
貴社は回答の中で、バリデーションプログラムはロット間やロット内のばらつきを評価していないことを認めた。貴社はロット内及びロット間の試験データを分析するためのプロセスを制定し、製造プロセスのばらつきを一貫して評価するために、バリデーションプログラムを改訂することを約束した。さらに貴社は、XXの能力を評価するために、機器の適格性評価をレビュするつもりであると述べた。
貴社の回答は不十分である。貴社は承認されたQAのバリデーションレポート及び付録における不純物XXに関する4番目のプロセスバリデーションロットの排除について対処しなかった。
さらに貴社のCAPAは製造プロセスの能力を裏付けるためにプロセス及び機器が適切なデータを持っていることを保証するため同様に欠陥がある可能性のある他の製品のプロセスバリデーションの研究の評価を含んでいなかった。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 製品のライフサイクルを通じて、以下の要素を含む継続的な管理状態を保証するためのバリデーションプログラムの包括的で独立したアセスメント
    • プログラム全体の説明(例:プロセスバリデーションのフェーズ、機器や施設のプロセスバリデーション)
    • プロセスの厳格な性能適格性評価の検証を保証する方法の詳細な説明
      全ての重要なプロセスのステップを完全に評価するためのサンプリング計画を強化した具体的な定量的アプローチを含めよ。また、これらのサンプリングが、販売の準備ができているかの判断をサポートする高レベルの保証を提供するために、いかに各ステップでのロット内の均一性を明らかにするかについて説明せよ。
    • 下記のことに重点を置いた、ライフサイクルを通じてプロセスの性能と製品の品質を注意深く継続的なモニタリング:
      • ロット内及びロット間のばらつきの両方を継続的に注意することを保証するためのメカニズム
      • プロセス制御の欠落の検知を保証するための、プロセス全体の適切なサンプリング方法と頻度
      • 供給者から得た原材料のばらつきの精査
      • 内部データと顧客の両方から得た品質の警告
      • 改善が必要なばらつきの範囲を特定するために、貴社の品質システムとプロセス性能と製品品質のモニタリングの警告の継続的な知識を統合する方法
    • このアセスメントに基づき、貴社のプロセスのバリデーションプログラム内の不備に対処するためのCAPAを提出せよ。

●指摘5

貴社は、試験方法の精度、感度、特異性、再現性を検証することを怠った。
 (21 CFR 211.165(e))
<指摘5詳細>
貴社のQA部門は、適切に試験された原料が医薬品の製造に使用されていることを保証していなかった。貴社は試験方法が使用目的に合っていることを保証するために試験方法のバリデーション(または、必要に応じて検証)を実施することを怠った。貴社は、XX等の原材料のための方法を含む複数のバリデートまたは検証されていない社内の方法及び公定書の方法のリストを提供した。
方法のバリデーションと検証は、医薬品の同一性、濃度、品質、純度、効能の信頼できる判断をサポートするために不可欠である。方法の妥当性の評価がなければ、貴社の試験データが製品の品質を正確に反映しているという基本的な保証が欠けている。
貴社は回答の中で、製造に使用される原材料は、バリデートまたは検証された方法を使って試験される必要があると認めた。貴社は、FDAの規制要件に準拠した手順を保証するために、方法のバリデーションや方法の検証を管理する手順や技術移転の方法をレビュすることを約束した。
この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:

  • 適切なバリデーション(米国薬局方(USP)の公定法の場合は検証)によって裏付けされ、使用目的に合っていて、再現性を保証する十分具体的な指示を含んでいるかを評価するための、全ての試験方法の詳細で独立したアセスメント
    アセスメントは、安定性プログラムに使用されている試験方法が安定性を示しているかどうかも判断すべきである。アセスメントの範囲は、貴社または契約試験機関で実施される試験方法も網羅すべきである。

●その他の査察の指摘事項

XXアクセス制限バリアシステム(XXRAB)内の気流に対する介入や相互作用(すなわち、モバイルのカートの移動、その他の原材料の移動)の影響の評価を改善するために、動的状態のもとで新しいスモークスタディを実施するという貴社の計画を認識している。この文書への回答の中で、最新の静的及び動的なスモークスタディを提出するという約束、または、完了時にこれらの研究結果を提出するという約束を提出せよ。

●データ・インテグリティの改善

貴社の品質システムは、貴社が製造する医薬品の安全性、有効性、品質を裏付けるデータの正確性と完全性を適切に保証していない。CGMPに準拠したデータ・インテグリティの業務を確立して遵守するためのアドバイスとして、
FDAのガイダンス文書Data Integrity and Compliance With Drug CGMP
を見よ。
我々は貴社が、貴社の作業を監査し、FDAの要件を満たす助けをするためのコンサルタントを使用していることを認識している。この文書への回答の中で、以下の情報を提供せよ:
A.データの記録及び報告の不正確さの範囲の包括的な調査
貴社の調査には、以下のことを含むべきである:

  •   詳細な調査のプロトコルと方法論;アセスメントの対象となる全ての試験、製造作業、システムのサマリ;貴社が除外を提案した作業の正当性
  • データの不正確さの性質、範囲、根本原因を特定するための、現在及びかつての従業員のインタビュ
    我々は、これらのインタビュが適格性のあるサードパーティによって実施されることを推奨する。
  • 貴社の施設のデータ・インテグリティの不備の範囲のアセスメント
    省略、変更、削除、記録の破壊、非同時の記録の完成、その他の不備を特定せよ。貴社が発見した、データ・インテグリティが欠落している貴社施設の全ての作業を述べよ。
  • 試験及び製造のデータ・インテグリティの欠落の性質の包括的で回顧的な評価
    我々は、潜在的な違反が確認された分野の専門知識を持った適格性のあるサードパーティが全てのデータ・インテグリティの欠落を評価することを勧める。

B.貴社の医薬品の品質において発見された不具合の潜在的な影響に関する現在のリスクアセスメント
貴社のアセスメントには、データ・インテグリティの欠落の影響を受けた医薬品の出荷により患者に引き起こされるリスクの分析と、継続的な作業により引き起こされるリスクの分析を含めるべきである。
C.グローバルな是正処置・予防処置の計画の詳細を含む、貴社のマネジメント戦略
貴社の戦略には以下の要素を含めるべきである:

  • 分析データ、製造記録、FDAに提出される全てのデータを含む貴社が生成する全てのデータの信頼性と網羅性を貴社がどのように保証するかを述べた詳細な是正処置の計画
  • 現在のアクションプランの範囲と深さが調査でみつかったことやリスクアセスメントの結果に釣り合うというエビデンスを含む、データ・インテグリティの欠落の根本原因の包括的な説明
    データ・インテグリティの欠落の責任がある個人が、貴社でCGMP関連または医薬品の申請データに影響を与えることができる状態のままかどうかを示せ。
  • 顧客への通知、製品の回収、追加試験の実施、安定性を保証するために安定性プログラムへのロットの追加、医薬品の申請アクション、強化した苦情モニタリング等、患者を守り、貴社の医薬品の品質を保証するために貴社がとった、または、とろうとしているアクションを述べた暫定的な手段
  • 貴社のデータの完全性を保証するために設計された手順、プロセス、方法、管理、システム、監督、人的資源(例:教育、職員の改善)に対する改善努力と強化を述べた長期的手段
  • 貴社がデータ・インテグリティのプロトコルを改善した後、CAPAの有効性を評価する助けとして、少なくとも2年間広範囲な年次照査を適格性のあるコンサルタントに実施させるという約束
  • データ・インテグリティの懸念を報告する従業員の匿名性を維持する権限を与えられ、潜在的な違反が調査されることを保証する権限を持つ最高インテグリティ責任者を雇う場合はFDAに知らせよ。
  • 既に進行中または完了した上記の活動の状況報告

●施設での繰り返しの調査結果

2019年5月20日~28日の査察を含む以前の査察で、FDAは同様の調査結果を挙げている。貴社は回答の中でこれらの調査結果の具体的な改善を提案した。繰り返しの不具合は、経営陣の医薬品の製造に対する監督と管理が不十分であることを示している。

●効果のない品質システム

この文書内の重要な調査結果は、貴社がCGMPに準拠した効果的な品質システムを運用していないことを示している。さら効果的な製造及び試験の作業の監督の不足に加えて、我々は貴社の品質部門が適切な権限を実施できずその責任を十分に果たしていないことに気付いた。
経営陣は、貴社のシステム、プロセス、製品がFDAの要件に準拠していることを保証するために、貴社のグローバルの製造作業をすぐに包括的に評価すべきである。

●規格外の試験結果

不合格、規格外、傾向外、その他の予期しない結果や、貴社の調査の文書化の取り扱いに関する詳細な情報については、
FDAのガイダンス文書Investigating Out-of-Specification(OOS) Test Results for Pharmaceutical Production
を見よ。可能性のある試験のエラーは、Phase1の調査を完了するには不十分である。調査が試験のエラーの決定的な証拠に欠ける場合はいつでも、製造の原因の可能性の徹底的な調査が実行さればければならない。

●プロセスバリデーション

プロセスバリデーションは、工程の設計と管理状態の安定性を、プロセスのライフサイクル全体を通して評価するものである。製造プロセスの各重大なステージは適切に設計され、入荷原材料、中間材料、最終製品の品質を保証しなければならない。プロセスの適格性評価の検証は、初期の管理状態が確立されているかどうかを判断する。プロセスの適格性評価の完了が商用の販売の前に必要不可欠である。その後、工程性能と製品品質の継続的で慎重な監視が、製品のライフサイクルを通じて安定した製造作業を維持することを保証するために必要不可欠である。

●結論

この文書で挙げた違反は、貴社の施設に存在する違反の包括的なリストではない。貴社には、全ての違反を調査し、原因を判断し、再発やその他の違反の発生を防止する責任がある。
FDAは2023年6月1日に輸入警告措置66-40を取った。
全ての違反を速やかに是正せよ。全ての逸脱が完全に対応され、我々が貴社のCGMPの遵守を確認するまで、FDAは貴社の製造業者としての新薬の申請やリストの補完の承認を保留するだろう。また、我々は、貴社が全ての違反に対する是正処置を完了したことを確認するために再査察を行うかもしれない。

出典:https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/intas-pharmaceuticals-limited-652067-07282023

まとめ

いかがでしたでしょうか。

2通目のウォーニングレターは、コンピュータシステムの管理やデータ・インテグリティの不備についての詳細な指摘が含まれていました。

  • FDAが会社に対して、システムにアクセスできる職員の組織上の所属と役割とシステム上の権限についての提出を求めている点
  • QAがバッチレコードのレビュの一貫として監査証跡をレビュしていないことを指摘している点は、今回が初めての指摘内容ではありませんが興味深かったです。

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【発行責任者】

株式会社プロス 『ASTROM通信』担当 橋本奈央子 hashimoto@e-pros.co.jp

※本記事は株式会社プロスの許可を得て転載しております。

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